ニュースをわかりやすく解説。毎日新聞のキャラクター”なるほドリ”に学ぶ

サクセスに学ぶ

ニュースをわかりやすく解説する、毎日新聞の”なるほドリ”について、毎日新聞社 経営企画室の窪田氏にお話を伺いました。

芥川龍之介や新渡戸稲造など歴史的著名人も在籍し、日本新聞界のグランプリである新聞協会賞(編集部門)を最多の32件受賞している、歴史ある新聞社の毎日新聞社。そんな新聞社で誕生した親しみ感のあるキャラクター”なるほドリ”の誕生秘話などを探っていきます。

 

【なるほどり誕生背景】

ーなるほドリ誕生のきっかけー

2007年に、新聞の文字を見やすくしようということで当時、業界最大の活字となる「J(ジャンボ)字」を採用し、それを機にニュースの解説コーナーが誕生。それを、読者と同じ目線で愛嬌のあるキャラクターにナビゲートさせようと言うことでキャラクタープロジェクトがスタートしました。キャラクター名は「考えるぞー(象)」「質問地蔵」などさまざまな名前が浮かびましたが、結局は「なるほどー!」と、読んだ人が納得できる記事にしょうという狙いから、”なるほドリ”に命名。2008年の4月になるほドリのタイトルコーナーが出来き、”なるほドリ”が誕生しました。そんな”なるほドリ”ですが実は、プロフィールがまとまったのは誕生から5年後の2013年でした。正式なプロフィールを作るきっかけとなったのは、”なるほドリ”のぬいぐるみが登場した北海道でのイベントで、”なるほドリ”自身のへの質問が沢山届いたことでした。

当時、毎日新聞社では、キャラクターを作るというのは初の試みでした。このプロジェクトに参加してデザインを担当したのが、地図や図表などを作るデザイン室の方。地図や図表なんて堅いイメージですが、そんなデザイン室から、可愛らしいキャラクターが生まれたのです。”なるほドリ”が、黄色のヒヨコなのにも実は理由があるんです。黄色は紙面で目立つ色なので、キャラクターには黄色を採用。名前と色から、ヒヨコになったそうです。この辺の色をキャラクターに落とし込む発想は、デザイン室の方だからこそかもしれませんね。そして”なるほドリ”が紅茶を好きな理由は、実はその作者の好きなものなんだとか。

”なるほドリ”の尊敬する鳥は伝書鳩。現在のようにインターネットや電話が普及していない頃、新聞記者たちは伝書鳩で原稿や写真フィルムを足輪につけて本社まで飛ばしていました。1965年の東京オリンピックの翌年まで伝書鳩が活躍しており、鳩の飼育部署(鳩係)もあったのだとか。伝書鳩が心のヒーローというプロフィールは、日本の新聞の歴史を踏襲しています。

 

【なるほドリの役割】

”なるほドリ”は、難しい記事をわかりやすく解説しながら、親しみを持ってもらう役割を担っています。新聞なので、堅くてとっつき難い内容もあったりしますが、それをわかりやすく「なるほど〜」と納得してもらえるよう、”なるほドリ”も日々奮闘してます。

【なるほドリの活動】

”なるほドリ”は、毎日新聞のキャラクターなので、主にニュースを解説して伝えることが使命ですが、新聞以外でも様々な場所で活動しています。2012年11月からスタートしたTwitter。毎週木曜からの収録配信するYou Tubeチャンネル「まいもく」を発信する公式Facebookアカウント。2009年発行のなるほドリの質問に第一線記者が答える書籍「なるほドリの質問」。2015年にはラインスタンプが発売。「質問なるほドリ」の掲載記事を集めた「月刊なるほドリ」(2019年度まで)は、大人の読者にも好評です。毎日小学生新聞の「なるほドリの旅は道づれ」でスタンプラリーにも登場します。「今年も、”なるほドリ”の内容を元にした書籍「2020年上半期 ニュース丸わかり80」が出版されました。

紙面では、メインとなる質問コーナー「質問なるほドリ」に加え、経済面では、社会人になって間もない読者向けに経済ニュースを分かりやすく解説する”なるほどリーマン”など、”なるほドリ”の親戚たちも活動しています。

 

ーコンテンツ編ー

”なるほドリ”をキャラクターにした啓発動画をTokyo Good Manners Projectの新型コロナウイルスの感染拡大の防止を目的とした啓発キャンペーン「いのち守るマナー新聞」に参加しています。

*Tokyo Good Manners Projectが、一般社団法人Tokyo Good Manners Projectと毎日新聞、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日経新聞、読売新聞の新聞社6紙と連携したプロジェクト。

 

2012年からTポイントカードにも登場しています。

ーグッズ編ー

”なるほドリ”グッズは、子供向けのアイテムが多く、クリアファイルやランチクロスが人気のようです。特に、子供向けを対象にしているわけでは無いですが、キャラクターのデザインから、子供向けの方が作りやすいということで結果的に子供向けが多いとのことです。

イベント会場になると、ぬいぐるみが人気で、大人も購入しますが、やはり子供の購入率が高いです。

 

【ブランド認知を保つためにしている施策と差別化】

毎日新聞と読者・関係者を繋げる橋渡し・触媒の役割が”なるほドリ”。なので、皆様とつなげるものとして、より身近に感じてもらえるシーンを選んでいます。

毎日新聞社は4本社・1支社制を取っており、その地域のニュースや情報などをお届けしています。各支社でも「ご当地”なるほドリ”」など、文化や地域とコラボした、”なるほドリ”が数多く誕生。これまで生まれた、数百種類の”なるほドリ”は、毎日新聞社サイト内の”なるほドリの里”にアーカイブされ、紙面だけで無くローカルイベントなどでも活動しています。

毎日新聞の支局Twitterでは、ご当地の”なるほドリ”が、アイコンになっているものがほとんどです。デザインの多様さは、いろいろなシーンに使え、区別化が出来ます。毎日新聞を読めば、どこかに”なるほドリ”を見つけることが出来ます。また、毎日新聞グループホールディングスの中でもグッズ展開やチラシなど、さまざまなシーンで露出されることが結果的にブランド認知を保つための施策と差別化につながっています。やはり、”なるほドリ”をみて毎日新聞を思い出してもらえるのは嬉しいとのことでした。

【コラボレーション】

青少年読書感想文全国コンクールのプロモーションで、登録者数39.7万人(20年12月現在)を誇る、Youtuber”りりり”さんと感想文ダンスを披露しました。とっつき難い読書感想文に親しみを持ってもらおうということがコラボ背景にあったんだとか。今後も、キャラクターやYoutuber など、良い組み合わせがあればコラボレーションも検討していきたいとのことでした。

青少年読書感想文全国コンクール公式サイト
https://www.dokusyokansoubun.jp/

【なるほドリが誕生し、どんな変化がありました?】

”なるほドリ”を通して、読者に問いかけることで、社内でも、「難しいことをわかりやすく文章で伝えたい。かたい目線では無く、相手に伝わりやすいように伝えなければいけないという」意識が強まったようです。誕生から10年以上の月日を経て、社内での位置付けもしっかりしてきました。

【今後の展望】

「大切なキャラクターであるという認識は変わらず、これからも長く大切に使っていき、たくさんの人とコミュニケーションを取っていきたい」と今後の展望を語っていただきました。

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記事:キャラクター事業部 釜澤直恵

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