伊藤園お~いお茶くん。Twitter参加型キャンペーンをご紹介!【SNSのミカタ】

SNSのミカタ

2021年夏、コロナ禍の状況下で、株式会社伊藤園(以下、伊藤園)のTwitter、YouTubeを活用したSNS施策について深掘りしました!

同年6~8月にかけて連続して行われた2つのSNS企画にフォーカスし、「お~いお茶」ができるまでの工程を交えて、今回行われた企画の経緯や狙いなどについてお~いお茶くん(以下、お茶くん)にお話しを伺いました。

自社商品に興味を持ってもらう体験施策の成功事例として、みなさんも参考になるのではないでしょうか?

<目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
鮮度へのこだわりを伝えるために
お茶の製造工程とは?
第1弾:茶畑エクスプレス
動画で分かりやすく説明
第2弾:真夏の火入れ大作戦
オンラインイベントの開催
特別な体験を提供して“想い”を伝える
おわりに:振り返りとこれから

 

鮮度へのこだわりを伝えるために


伊藤園の2021年度スローガンとして「とどけ!お茶のチカラ」

©伊藤園

伊藤園では、2021年度スローガンとして「とどけ!お茶のチカラ」を掲げており、お茶の3つのチカラ「おいしさ・すこやかさ・たのしさ」を届ける施策を行っています。

お~いお茶くんが誕生したそもそものきっかけは、なかなか伝わりづらい「お~いお茶」のこだわり、魅力をみんなに伝えるということ。そこを課題に感じ、どうやって興味を持ってもらえるのか、伝えられるのかの施策の一環として、「#茶畑エクスプレス」と「#真夏の火入れ大作戦」が連続する形で行われました。伝わりにくいのであれば、いっそのこと「実際にお客様に体験してもらおう」という大胆な発想から切り込んだ企画です。

伊藤園が大切にしているのが、お茶の命ともいえる“鮮度”。摘み採ってすぐに鮮度を維持するために熱加工を行わないと酸化酵素の働きで、緑茶になれません。つまり「茶畑」はお茶にとっての原点なのです。そこに徹底的にこだわる伊藤園のお茶への想いをどうやって伝えるのか? 茶畑やお茶への鮮度はお茶くんも並々ならぬこだわりを持っています。

「CMでも茶畑が映し出され、清々しくお茶を飲み干すシーンがあるように、『茶畑』はお茶にとってとても重要な場所なんですよ~。
『茶畑』は摘みたてのお茶の葉の新鮮さを一番分かりやすく表現する代名詞。
僕は、現地の臨場感をしっかり伝えるために、現地に行って茶農家さんの話を聞いたり、日光に照らされる茶畑を映し出す中でしっかり説明していますよ」(お茶くん)

お茶は摘み採られた時を境に、どんどん酸化してしまいます。

では、どのような工程を経て、お茶は我々の元に届けられているのか? まずは、その製造工程を知る必要があります。

 

お茶の製造工程とは?


お茶の葉は、生葉の状態から蒸し揉みなど10の工程を経て、「荒茶」という状態に行きつきます。荒茶は保存に耐えられる状態ではありますが、形状が不ぞろいで、水分含水量が多いため変質しやすい半製品の状態。製品として完成させるために、「仕上げ」加工を行います。

仕上げ加工は2種類あり、1つが荒茶をまとめて火入れしてから分別・整形する「先火方式」。もう1つが「後火方式」で、荒茶を整形・分別し、それぞれに最適な火入れ(焙煎)を行い、味、香り、色のバランスなどを調整する「合組」(ブレンド)というプロセスを踏みます。「真夏の火入れ大作戦」の作業工程は、後者に相当します。

お茶を作る工程の前半を第1弾で、後半を第2弾で、工程の順番に則って順番に行っているのが分かります。

 

<後火方式の流れのイメージ>

(出典:お茶ができるまで煎茶の製造工程 仕上げ加工工程 
(参考:お茶の種類煎茶・深蒸し煎茶お茶ができるまで煎茶の製造工程 荒茶工程

本来は、消費者に届く前に業者が行う仕事を、Twitterフォロワーの方が家の中でも簡単に体験できるように工夫されています。

こちらの動画でも分かりやすく解説されています

茶道のように細かな礼儀作法や専門的知識が必要とされるものではなく、ワークショップのように気軽に参加でき、準備品も一般家庭にある日用品で済むように工夫されているのが、両企画に共通する特徴だといえます。

 

第1弾:「#茶畑エクスプレス」


企画概要(※こちらの応募は既に終了しています)

【キャンペーン名】 お~いお茶「茶畑エクスプレス」キャンペーン
【応募期間】 2021年6月21日(月)~7月4日(日)23時59分
【当選者数・賞品】 抽選で24名に「鮮度体験キット」をプレゼント
【内容】 伊藤園契約茶畑農家から、摘みたての生の葉を選別し、お茶を作る「鮮度体験キット」に同梱。それを24時間以内にお客様の元へ届ける。7/10(土)に到着。同日に伊藤園ティーテイスターがZoomでお茶づくりをレクチャー。
茶畑エクスプレス 特設ページ https://www.itoen.jp/oiocha/oiochakun/chabatake-ex/

企画名に「茶畑」と入っている通り、「茶畑」という原点へのこだわりを示すための施策です。応募者総数は、24人に対して約3000人の応募がありました。

茶畑から葉を取って、それをすぐに「荒茶」という乾燥させた状態にするのは、本来農家さんが行う仕事。それをフォロワーの方に体験してもらう内容です。

さらに、新鮮な生茶を届けるために自らに課した「24時間以内に届ける」課題をクリアするために、大変な苦労があったようです。

「とある県境の契約農家さんの茶畑、当日朝一の新幹線で赴きました。コロナ禍だったので、ソーシャルディスタンスに配慮して行ったんですが、途中で豪雨に見舞われてびしょ濡れに…。
真っ暗のプレハブの中で、スマホのライトを頼りに人数分の茶葉を選別しました。茶葉を採取した後の発送の手続きも苦労の連続でした。
北海道にいる茶レンジャーに届けるために、茶葉を採取した後に最寄りの空港に直行。新千歳空港まで飛んで、現地の発送所に着いた頃には夜になっていました~。
東北地方の茶レンジャーの発送も大変でした。新幹線で品川にある発送所に行く途中で遅延する事故に巻き込まれてしまって…。発送所が閉まる2分前にギリギリ到着してなんとか事なきをえましたよ」(お茶くん)

このような度重なる困難を乗り越えて、「24時間以内に届ける」という難しいミッションを見事に実現させたのです。

本企画のもう一つの特徴が、茶レンジャーたちが作った「荒茶」の一部を返送してもらい「お茶の通信簿」をつけて評価することです。

返送された「荒茶」は、伊藤園で神の舌と評される繊細な味覚を持つ「お~いお茶」のブランドマネジャーにより、味・見た目・香りの観点から検茶、採点が行われ通信簿としてフィードバックがなされました。

当選した24人全員から返送があり、ほとんどの人から御礼の手紙が同封されていました。本企画を通じて、お茶づくりの楽しさ、大変さ、おいしさを実感する貴重な体験が提供できたといえます。

 

動画で分かりやすく説明

体験キッドの到着日が7月10日であったため、それに合わせる形でどのような手順でお茶を作るのか、イメージしやすいようにYouTubeで動画が公開されました。

家庭でどのように作るのかという説明動画だけではなく、伊藤園社員が一般応募者と同じ「茶レンジャー」としてガチンコで参加した動画も公開。

参加した社員たちは手探りの状態で、持てるお茶づくりの知識を総動員して、最高のお茶を目指しました。最後に「検茶」が行われます。お茶の色、味、形状、色つや、香り、それらのバランスなどが審査されました。伊藤園社員が実際に参加することで、参加者は伊藤園に親近感を覚えることに繋がります。

 

第2弾:真夏の火入れ大作戦


▼企画概要(※こちらの応募は既に終了しています)

【キャンペーン名】 お~いお茶「真夏の火入れ大作戦」キャンペーン
【応募期間】 2021年7月26日(月)~8月16日(月) 23時59分
【当選者数・賞品】 抽選で1,000名様に「自家製お~いお茶キット」をプレゼント
【内容】 葉の大きさ、太さが異なる荒茶を選別し、形状・部位に合わせて火入れを行う。茶葉に火入れをすることでお茶屋さんの仕事を自宅で体験する
真夏の火入れ大作戦 特設ページ https://www.itoen.jp/oiocha/oiochakun/midsummer-hiire/

第2弾は、「お~いお茶」の製造工程だけでなく、実行された時期が「真夏」だったことにも関連させています。

本企画で行う工程は、荒茶を部位や形状ごとに選別し、味づくりのためにさらに乾燥させる「火入れ」。さらに、それぞれの荒茶を組み合わせる合組(ごうぐみ)をして、自分好みのオンリーワンのお茶の味づくりを目指します。ちなみに、ポイントはお茶の葉を火入れし過ぎてほうじ茶にならぬように、いい具合で火入れを行うことです。

その後の、「淹れる」という作業でも真夏ならではの工夫が施されています。サウナの後に、冷たい水を飲むといつも以上に美味しく爽快に感じます。それと同じように、真夏の暑い時期に苦労して完成させた自分だけのお茶に、氷と水だけを入れてオンザロックで飲もうという呼びかけもされました。

このように、第2弾はお茶の作業と真夏という季節的要素を融合させた内容といえます。また、応募総数は、募集人数1000人に対して2万人の応募があり、こちらもかなりの反響を得た施策だといえます。

 

オンラインイベントの開催

募集期間が終了した後、Twitterの次は、主たる発信の場をYouTubeに場所を移しました。解説動画、オンラインイベント、「真夏の火入れ」王者決定報告動画を順次公開しました。第1弾との違いは、8月28日(土)開催オンラインイベントでしょう。チャットを使用して視聴者とリアルタイムで質疑応答を行いました。お茶くんももちろん参加して、クイズを出してイベントの盛り上げに一役買いました。

(※動画では、乾燥 → 選別 → 火入れ → 合組 → 抽出の工程の順番を分かりやすく解説)

 

特別な体験を提供して“想い”を伝える


今回行われた両企画で提供したのは、「生の葉を自分の力でお茶として飲める状態に仕上げる」という体験。お茶葉が製品になっていない状態で届き、それを自分好みの味の「お~いお茶」に仕上げる。モノよりもサービス・体験としての楽しさを付加価値として提供し、伊藤園独自の企画だといえます。コロナ禍で外出自粛ムードが色濃い状況下だったということも、両企画での成功の一因といえるでしょう。

最後に、お茶くんはこのように振り返ります。

「同じ原料を使った茶葉でも淹れ方次第で味が全く変わります。味のオリジナリティや自分が作ったという愛着が生まれるだけでなく、そこがお茶づくりの楽しさであり、お客様にとって特別な体験になると考えていました。
同時に、お茶は味や香りなどの品質を統一し、維持が難しいという事実を知ってもらうことで、伊藤園の『お~いお茶』がいつでも、どこでも同じ味わいでお届けしていることにも気付いてもらえたと思います。今回の企画を通して、伊藤園『お~いお茶』の味や鮮度へのこだわりが伝われば嬉しいです」(お茶くん)

 

おわりに:振り返りとこれから


<両企画の共通点は4つ>
・コロナ禍でも自宅で簡単に参加可能
・参加者たちを「#茶レンジャー」と呼称し、企画の連続性を強調
・応募条件はTwitterでのフォロリツ(フォロー&リツーイト)
・YouTubeと連動。募集期間終了後は動画を公開

今回の両企画は、コロナ禍で増えた「おうち時間」を企画内に取り込み、TwitterとYouTubeをうまく連動させた内容でした。

また、両企画を通して、伊藤園社員も自らの手でお茶づくりに挑戦したこと、お客様から手紙をいただいたことで、さまざまな気づきも得られる結果となり、お客様だけでなく伊藤園社員にとっても貴重で特別な体験となったといえます。

最新の情報では、セブン‐イレブン・ジャパン(@711SEJ)と、新たなコラボキャンペーンを行いました。

お茶くんがSNSで発信するキャンペーン情報をお見逃しのないようにご覧ください。

 

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キャラクター事業部:野村隆仁

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