大阪大学情報科学研究科の英語圏に向けた挑戦!AI知識が身につくゲーム!? 『REN-A.I.』

キャラクター活用

AI知識が身につくゲーム!? 『REN-A.I.』

『REN-A.I.』は、恋愛シミュレーションを楽しみながらAIとAIセキュリティについて学べる学習ゲームで、個性的なキャラクターが登場し、クイズ形式で話が進んでいきます。ブラウザ上で無料でプレイできます。

〜あらすじ〜

新卒で入社初日に、1億Gの借金があると告げられ愕然とした俺。
AI担当となった俺は、1ヶ月後に控えたAIコンテストの優勝賞金、1億Gを狙って奮闘する。

そんな中、競合会社の社長令嬢とヒョンなことから出会うことに。この令嬢が本当に可愛い!

会社の命運と、ライバル会社の社長令嬢との恋。どうなる俺?!


ゲーム完成までの開発STORY

このゲームを開発したのは、大阪大学大学院情報科学研究科・セキュリティ工学講座のみなさん。

海外のユーザーに向けた英語版のリリースも控えるこのゲームについて、同講座の矢内直人准教授、山下恭佑助教、院生の新井さんにお話を聞きました。

キャプション:左から、大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 セキュリティ工学講座 准教授 矢内直人さん、同講座学生 新井さん、同講座助教 山下恭佑さん

情報科学研究科・セキュリティ工学講座では、どのようなことが学べるのですか?

矢内准教授(以下、矢内さん) セキュリティについて幅広く教えています。

企業がセキュリティ分野に注目していること、世界的にゲームに関する教育が関心を集めていることから、ゲームの要素を応用してセキュリティ教育を学べるような、ゲーミフィケーションの研究にも力を入れています。

また国内外問わず、コンテストにも積極的に参加しています。

『REN-A.I.』の開発経緯を教えてください。

矢内さん 『REN-A.I.』は、「MWS Cup」というマルウェア解析コンテスト向けの課題として制作しました。

まず新井さんを含めたメンバーの中で新しいゲームを作ろうという声が上がりました。
「そういえばAIセキュリティのゲームは出したことないよね」という話になり、そこから実際に制作がスタートしました。

実は私たちが毎年参加しているセキュリティ系コンテストのための簡単なグループワークの一環としては、これまでにもゲーム制作を行ってきた背景があります。

大学の研究でゲームを制作されているというのは面白いですね。
『REN-A.I.』のゲーム内容を教えてください。

新井さん ユーザーがAIの仕組みとAIセキュリティについて学ぶことができるシミュレーションゲーム(文章を読み進めることで進行するゲームのこと)です。

ゲームの主人公は新卒入社したばかりの社会人。しかし、その会社には1億円の借金があることが判明し、プレイヤーは会社存続のためにAIコンテスト優勝を目指す。

AIの訓練や自社への攻撃対策などを通してAIセキュリティに関する知識を身につけられる。

ゲーム内に登場するクイズなどを通じて、知識を身に付けることができます。
幅広い方に遊んでもらえるように、サイドストーリーとして恋愛要素を盛り込みました。

ゲーム中ではクイズなども出題される。

制作は何人くらいのメンバーで行われたのですか?

新井さん セキュリティ工学講座に所属する6人の学生で制作しました。私は総監督のような立場ですね。UI(ユーザーインターフェース)をはじめとする全体の統括を担当しました。シナリオはメンバー2人に大枠を考えてもらい、あとは各メンバーの専門分野に合わせて分担しました。

制作期間はどのくらいですか?

新井さん コンテスト出品のための制作期間は約1か月半です。その後、私が2ヶ月ほどかけてリニューアルをしました。ゲームのアイデア構想に約半月を費やしたので、その後のスケジュール調整では、けっこう苦労しました。またコロナ禍の制作だったので、リモート中心の作業になりチーム内の意思疎通が難しかったです。

ゲームのコンセプトやキャラクターの設定は、どのように進めていったのですか?

新井さん AIを訓練する過程って、どこか育成ゲームに似ていると思ったんです。そこから、AI育成シミュレーションというコンセプトを決めました。キャラクターについては、「キャラが立っているなぁ」と感じる漫画やゲームをヒントに、知人や研究室のメンバーとディスカッションしながら作りました。

研究室内でのディスカッションの様子

今回、英語版も制作されたということですが、その目的は何ですか?

矢内さん 情報分野の主戦場は英語圏です。制作したコンテンツのインパクトを最大化するためには、レベルの高い国際会議に出すのが効果的だと考えました。例えばインターフェイス系を好むアメリカの学会などでは、実際にゲームにフォーカスしていたり、ゲームだけを集めたイベントが開催されています。そういったところで発表したいと考えています。

『REN-A.I.』の今後の展開について教えてください

矢内さん ユーザーからのリアクション次第なところもありますが、多くの方へ広げていきたいと思っています。研究プロジェクトにおいては、まず地盤となるツールやソフトウェアを作り、それを拡張して幅広いユーザーを獲得するのが定石です。第1歩となる『REN-A.I.』をベースに、例えばユーザー調査や、AIそのものの開発、さらにAI以外を題材にした新しいバリエーションのゲーム制作といった取り組みも考えられます。

『REN-A.I.』の英語版制作で、(株)ピーアールハウスのローカライズ翻訳サービスを利用された理由を教えてください。

山下助教(以下、山下さん) 英語版の制作は、私たちにとって初の試みでした。Webでいろいろ調べる中、候補に挙がったのがピーアールハウスのサービスでした。決め手になったのは、SEKIROなどのゲーム翻訳実績があり、ネイティブスピーカーがローカライズ翻訳する点です。私たちの取り組みとの親和性を感じました。

実際にサービスを使用された感想はいかがでしたか?

山下さん お願いして良かったです。ゲームの翻訳は、日常会話のニュアンスがとても重要です。私たちは英語で論文を書くこともあります。でも今回実際に翻訳された英文を見て、あらためて論文の世界とはぜんぜん違うと感じました。仮に私たちが自分たちの手で翻訳をしていたら、直訳的な固い英語になり、ニュアンスが損なわれていたと思います。英語による日常表現の勉強にもなりました。

新井さん 『REN-A.I.』に登場するキャラクターたちは、個性がかなり強いんです。それぞれのキャラクターの個性に合った口調で翻訳されていることに感心しました。

『REN-A.I.』が完成した今のお気持ちはいかがですか?

新井さん 大学の研究にゲームを使う事例は少ないですし、最初は「本当にゲームが研究に繋がるのか」という不安もありました。でも、「AIを勉強できる恋愛ゲーム」という他にはないコンセプトには自信がありました。国内の研究者の方々から「面白いね、頑張って」と応援の声をいただき、海外出身の方からも予想以上の反響がありました。とても嬉しかったですし、挑戦してみて良かったです。英語版のリリースを契機に、よりたくさんの方に『REN-A.I.』をプレイしてほしいです。


■大阪大学大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 セキュリティ工学講座

お問い合わせ先:https://www-infosec.ist.osaka-u.ac.jp/

■『REN-A.I.』

AIとAIセキュリティが学べる恋愛シミュレーションゲーム。

新卒で入社した会社には1億円の借金があった!
1カ月後に控えるAIコンテストで優勝し、会社を存続させろ!!

・プレイはこちらから:https://www-infosec.ist.osaka-u.ac.jp/software/ren-ai/REN-AI.html
・ジャンル :AI育成シミュレーション+クイズ+恋愛アドベンチャー
・プレイ時間:約1~2時間、途中セーブ可
・エンド数 :2個
・制作ツール:ティラノスクリプト
・対象   :全年齢。AIに関する事前知識は必要ありません。どなたでもお楽しみいただけます。

■ローカライズサービス(ピーアールハウス)

URL:https://prh-tokyo-char.com/top/gamelocalization/

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