【うまい棒キャラクターうまえもん】駄菓子文化をけん引し40年以上愛される柔軟な姿勢に学ぶ

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サクセスに学ぶ

1979年から40年以上も続く大人気の駄菓子「うまい棒」を手掛ける株式会社やおきん(以下、やおきん)。

今回は、うまい棒のパッケージにデザインされ、商品の顔ともいえる“うまえもん”について、キャラクターとしての役割や誕生背景、その活動などを、営業企画部 商品課 田中浩次課長(以下、田中さん)と営業企画部 商品課 中多俊太郎係長(以下、中多さん)に伺いました。

今では見られない懐かしのパッケージや、「10円駄菓子」が愛され続けている理由、多岐にわたるコラボレーション実績、そして今後の展望について、ぜひご覧ください!

 <目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
最初は耳があった? 宇宙人? うまえもんの秘密
名前の正式採用は2017年。妹誕生が契機
Twitterフォロワー10万人突破!
うまい棒川柳 2万7千通の“超”反響
うまい棒愛にあふれたクリエイターとのコラボ展も開催
まるで“1コマ漫画”。ナンセンスなオモシロパッケージ
異色コラボ うまい棒×ピップエレキバン
時代の流れに合わせ、お客様と作り上げていく
「10円」を守りつつ「10円の枠」を飛び越えたい
“駄菓子体験”を現在の若い人たちにも
【友達の輪バトン】次は“ホシオくん”

 

最初は耳があった? 宇宙人? うまえもんの秘密


うまえもんは、1979年のうまい棒発売当時からパッケージに登場した“宇宙人”です。

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©やおきん 公式HPより

当初、うまえもんには耳がありましたが、だんだん丸くなり現在のフォルムになりました。

なぜこのフォルムになったのかは諸説ありますが、「発売当時男の子の髪型として一般的だった丸刈りをイメージしたのではないか」と推測されています。頭がグレーなのも丸刈りの頭を表現しているといわれると、納得です……!

もともとが駄菓子のパッケージに描かれたキャラクターということで、うまえもんには細かい設定はありません。決まった設定に捕らわれずに、面白さや親しみやすさを出すように変化していきました。

うまい棒パッケージ(左1979年、中央1989年 右2021年)
1989年以降耳がなくなり、現行の形に ©やおきん

 

名前の正式採用は2017年。妹誕生が契機


実は、正式に「うまえもん」という名前がついたのもつい最近。発売からなんと38年も経過した2017年のこと! 命名当時の経緯を、田中さんはこう振り返ります。

「2000年に自社HPができ、『名前は何ですか?』といった問合せを多くもらうようになりました。その声の中で、お客様から“うまい棒君”、“うまえもん”、“うまい坊や”など、各地で親しんだ名前で呼んでもらっていることを知りました。
そういった背景を無視してまで、名前を一本に絞るのは野暮かなと考えて、あえて正式名称を決定しないようにしていたんです」

こうした事情から正式名称の決定は一時見送られ、その間社内では便宜上「うまえもん(仮)」と呼んでいました。そのため、うまえもんと言い切ってしまうと、上層部の方から「うまえもんじゃないっ!!(怒)」とお叱りを受けることもあったとか……。

 

その状況を一変させたのは、2017年。妹の“うまみちゃん”の「登場」です!

©やおきん

当時は、うまい棒の発売40周年を2年後に控えたタイミング。周年に向け、社内ではさまざまなキャンペーンが検討されていました。

「キャンペーンを行う際、うまえもん(仮)はあくまでもうまい棒のキャラクターなので、それ以外の商品に対しての広報活動ができなかった。なので、うまえもん(仮)がフォローしきれない部分を補う形で、妹のうまみちゃんにウマイアミ州から帰国し、“登場”してもらうことにしました」(田中さん)

しかし、そうなると当然「じゃあ、うまみちゃんの兄の名前は何なのか?」という問題が生じます。

当初の名前を決めない方針から17年が経過し、社内でも「そろそろ決定しても」という機運が増していました。そこで晴れて(仮)が外れ、「うまえもん」が正式採用となったのです!

 

Twitterフォロワー10万人突破!


うまえもんの主なSNS発信はTwitterです。開設から3年、2021年4月時点でフォロワーが10万人を超える人気アカウントです。発信内容はうまい棒に関する新商品の案内を担当しています。

一方で、うまみちゃんは、よりキャラクター性を前面に出し2020年7月には駄菓子系Vtuberデビューなどこれまでの未踏の領域に進出し、今後はうまい棒を含む会社全体の商品に関する情報発信を担当していく予定です。(うまみちゃんのTwitterフォロワーは3.4万人)

 

ここで、フォロワーとのコミュニケーションで気を付けていることについて、中多さんにお聞きしました。

「お買い上げいただいている中心層の30~40代、特に子育て世代に向けて、駄菓子としての期待を裏切らないように心掛けています。それだけでなく、駄菓子屋さん自体が少なくなる昨今で、Z世代(※)などの若い世代に興味を持ってもらえるように発信するようにしていますね」

(※)1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代

Twitter以外では、2020年にリニューアルした公式ホームページも発信の場となっています。ページ内で、うまい棒を含む駄菓子レシピの公開や商品キャラの紹介などを行っています。

やおきんの公式ホームページを下にスクロールすると……

 

所々でひょっこり現れるうまえもんが可愛い!ほかのページにも、うまえもんとうまみちゃんが随所に登場します。

遊び心満載のやおきんホームページはこちらから!

ホームページのリニューアル後、閲覧してくる人の滞在時間も長くなり、そこからSNSやネット通販へ流れる人も増加したそうです。このように、うまえもんはやおきんの情報発信を支える重要な役割を担っています。

 

うまい棒川柳 2万7千通の“超”反響


やおきんは11月11日を「うまい棒の日」に登録しており、その日に合わせる形で、2020年から「うまい棒川柳」の募集を始めました。キャンペーンは9月から開始し、懸賞サイトや店頭ポップ、自社HP、Twitterなどで告知しました。

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「うまい棒の日」記念日登録証
©やおきん

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©やおきん

また、TBSラジオ「ハライチのターン!」に期間限定のスポンサーとなり、番組内で取り上げてもらいました。当初は1万通も集まれば御の字と予想していましたが、それをはるかに上回る「2万7,158通」もの応募が集まりました!

あまりの数の多さに、平日の業務の合間だけではすべてを見切れず、土日につい徹夜してしまったほどでした。そして、選考の過程でなによりも驚いたのは、集まった川柳の中に、うまい棒に関する心温まるエピソードを取り上げた作品が多数あったことでした。

孫と一緒にうまい棒を食べた思い出を綴った70歳代の応募者をはじめ、自分が子どもの時に食べたエピソードなどを取り上げた応募者が数多くいたのです。発売から40年を経て、親から子、さらには孫との思い出の一部となるうまい棒。このキャンペーンは、新たな発見をもたらすものとなりました。

「うまい棒は駄菓子の中の一つではあるのですが、40年間の積み重ねと今後の可能性を含めて再認識できる出来事となりました。せっかくSNSで一般の方の声も来ているので、今後何かの形に反映していきたいですね」(田中さん)

うまい棒愛にあふれたクリエイターとのコラボ展も開催


やおきんは、毎年2月に「スーパーマーケット・トレードショー」(東京・幕張メッセ)、9月には「東京インターナショナルギフトショー」(同・東京ビックサイト)と、B to B向けの大型イベントにも積極的に参加しています。そこでも、うまえもんは着ぐるみで、うまみちゃんは等身大フィギュアの姿で参加し、場を盛り上げてくれています。

画像左:着ぐるみのうまえもん
画像右:等身大のうまみちゃん ©やおきん

他にも、2019年8月には新進気鋭のクリエイター約150名とコラボした「うまい棒×CREATORS展」を開催。うまい棒40周年のタイミングに合わせて入場無料で行い、盛況のうちに終幕を迎えました。最近ではコロナ禍の影響でリアルイベントの開催が難しいですが、今後も継続して開催する予定です。

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「うまい棒×CREATORS展」の作品を使用したオリジナルパッケージうまい棒 
様々なクリエイターの作品が並ぶ ©やおきん

 

まるで“1コマ漫画”。ナンセンスなオモシロパッケージ


お菓子メーカーであるやおきんにとって、商品が売り場でどう手に取ってもらえるかは最も重要視するところ。うまい棒のパッケージを見ると、ロゴのデザインはそのままですが、色はパッケージに合わせ、商品棚に陳列された時に来店客の目を引き、売り場で映えるように心掛けています。100円ショップなどの中型から大型のお店に並べた時、見た目がよくなるように、青・赤・黄色・白などの配色には細心の注意を払っています。

そして、“うまい棒”らしさといえば、やはり「ナンセンスでおもしろい」パッケージ!

やおきん謹製のパッケージの具体例は、下の現行パッケージを見ながら紹介していきます。

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現行のパッケージ
左からたこ焼き味、エビマヨネーズ味、牛タン塩味 ©やおきん

たこ焼き味(画像:左)は「蛸にタコ殴り」にされているうまえもんの姿。エビマヨ味(画像:中央)はエビ漁をしているところに飛び出してきたエビにうまえもんが目を奪われている隙に、別のエビが網を切ってしまっているシーン。牛タン塩味(画像:右)では伊達政宗に扮したうまえもんが片目に眼帯、手には刀じゃなくてうまい棒を持ち、ベロ出した牛にまたがっている姿をしています。

分かりやすさを第一にしつつも「えっ?」と思わず目が留まるインパクトを持ち、まるで「一コマ漫画」のように見てて楽しくなる趣向を凝らしたパッケージづくりが、“うまい棒”の個性を形づくっているのです。

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過去にはブームなど世相や地域色を反映したパッケージも!
左からカニチャンコ味1991、なっとう味(第一期)1993、ちょいからパンチ1994 ©やおきん

 

異色コラボ うまい棒×ピップエレキバン


2020年には磁気治療器の「ピップエレキバン®」(ピップ株式会社・大阪)とコラボ。これは、ピップエレキバンも11月11日を「磁気の日」として登録していたため、同じ記念日という繋がりから、両社のコラボが実現しました(11を漢字にすると“十一”となり“プラス”と“マイナス”になることから)。

同キャンペーンでは、「ピップエレキバンはからだのコリを、うまい棒はこころのコリをほぐす」というテーマのもと、1111日分のうまい棒とピップエレキバンを山分けでプレゼントするというキャンペーンを合同で行いました。

※磁気治療器「ピップエレキバン®」はピップ株式会社の登録商標です

うまい棒がコラボするのはお菓子・食品以外の異業種を前提に、誰もが知るような有名IT企業や有名映画・人気漫画など様々です。お菓子を包んでいる一重目の包装をオリジナルパッケージにしたノベルティ・景品として多数の事例があります。その他にも、通常のうまい棒をオリジナルパッケージでくるんだ、いわゆる二重包装としてのノベルティもあり、こちらも好評です。

 

時代の流れに合わせ、お客様と作り上げていく


ブランド認知を保つためにしている施策と差別化について伺うと、このような回答をいただきました。

「うまえもんは、あまり決められた形ではなく、キャラが徐々に一人で歩き、育ってきた過程があります。四角四面にこういう形でやっていこうと思ってやってきたものではなく、“商品をお客様と一緒になって作ってきた”という意識です。
もともとの認知度もあるかもしれませんが、今回の川柳募集でも、自分たちの予想を超えたいろんなうまい棒への想いがあると改めて発見できました。
今後のキャンペーンでも、自分たちがガッチリ考えるような固定化されたものでなく、ある程度の自由度を持ったものにお客様が参加していただくようにしたいです。その方が“やおきんらしい面白い”やり方だと考えています」(中多さん)

うまい棒のスタンスは「受け身ながらも柔軟な対応力」。それがブランド認知を保つための差別化につながっていると感じました。「お客様を第一に」という、キャラクターの名称をあえて自社で統一しなかったことにも通じます。

 

「10円」を守りつつ「10円の枠」を飛び越えたい


昔と現在では売り場が変わってしまいましたが、一本10円で販売をしていく経営方針に変わりはありません。

新規の味では、2020年に開発したのり塩味がメディアに取り上げられたこともあり、スマッシュヒットを記録しました。

このように新規の味を出しつつ、期間限定品やお土産品としてのうまい棒の幅広い展開も考えています。加えて、「あくまでも『10円のうまい棒』というこれまでのスタンスをできるだけ維持する中で、20円のプレミアムうまい棒で『10円の枠』を飛び越えた新しい可能性を今後も模索していきたい」(田中さん)とのことでした。

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『プレミアムうまい棒』20円 
左からモッツァレラチーズ&カマンベールチーズ味、明太子味めんたいこパウダー使用、わさびソースの和風ステーキ味 ©やおきん

海外展開では、現地企業などと共同で中東・東南アジア・韓国・香港・アメリカ西海岸・ロシアで一部商品を販売しています。特に、中東、アジアでは日本人気があり、うまい棒もその例外ではなく人気を博しています。どの国でも人気なのは、チーズ味やコンポタ(コーンポタージュ)味。一方で、その他の味、例えばエビマヨネーズ味やのり塩味は国によって好みがばらけるそう。

ただし、人気ランキングだけがすべてではなく、一人ひとりの購買力が与える影響力も無視することができません。その好例が日本におけるなっとう味。比較的ファンの数が少なくても、一人当たりの購入本数が多いため、根強い人気を維持しています。

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左から海外版(中東)コーンポタージュ味のパッケージ、根強い人気を誇るなっとう味 ©やおきん

 

“駄菓子体験”を現在の若い人たちにも


現在、うまい棒の一番の購買層は30代~40代。当時は駄菓子屋が近所にたくさんあり、小学生が駄菓子屋の中で食べる「駄菓子屋文化」がありました。遠足に駄菓子を持って行ったり、新しい駄菓子を買いにわざわざ隣町まで行ったり生活に密接に結びついていました。しかし、時代の変化とともに駄菓子屋からスーパーマーケット、コンビニエンスストアに推移したことで、昔に比べて駄菓子屋という存在が遠くなってしまいました。

今の若い世代にも「駄菓子体験」をしてもらい、大人になったときにこれまでの世代とは違った形で「駄菓子って面白いよね、おいしいよね、楽しいよね」と感じてもらうことが、今後の課題だと話していました。

 

【友達の輪バトン】次は“ホシオくん”


次回は、ベビースターラーメンでおなじみの「おやつカンパニー」のキャラクター「ホシオくん」にバトンをつなぎます。

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記事:キャラクター事業部 釜澤直恵 野村隆仁

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