【ムッシュ・コイケヤと巡るさけ子の旅】幻想的な温泉街 山形・銀山温泉で歴史の面影を見る

エッセイ-さけ子のプチ一人旅

「湖池屋ポテトチップス のり塩」のマスコットキャラクター“ムッシュ・コイケヤ”と旅するイラストレーター・さけハラス先生のキャラクター“明美さけ子”とのコラボ・エッセイ。今回は、山形県の銀山温泉を訪れます。

君って、ホントどこにいても様になるよね

旅館の入口、バッグにぶら下がりながらすまし顔をしているムッシュ・コイケヤを見ながらつぶやいた。これが紳士の余裕というやつですか。さすがフランス帰り、私より旅慣れてらっしゃる。

ムッシュは落ち着き払って旅情を楽しんでいるみたいだけど、私は昨日から、この場所の風景や雰囲気に少しだけ浮足立ってしまっている。

 

「山形県北東部の奥地、山間に広がる大正の面影を残す温泉街。それが銀山温泉です」

 

来る前には事前に調べていたし、とてもきれいな場所なことも知っていた。だけど、昨日見た銀山温泉の夕景は、写真では伝えきれない奥行きがあって、インスタに上がっているどの写真よりも幻想的だった。

陽が山の中へと沈むにつれて、柔らかな光が温泉街を照らし出す。旅館に描かれた鏝絵(こてえ)や行き交う人々のシルエットが少し朧げに浮かび上がる感じが、まるで別世界のようで、旅行で訪れているのに、なぜか迷い込んでしまったような気持ちになった。

そんな浮遊感を覚えるのは今朝も同じで、整然と立ち並ぶレトロな街並みはとても落ち着いていて、時間の流れが急に遅くなったように錯覚してしまう。

温泉街の通りには、真ん中に川が流れて、無数の橋がかかっている。そこから聞こえるせせらぎや、よく澄んだ川底で泳ぐ小さな魚の群れが自然との近さを感じさせる。

きれいな建物の装飾や清流を眺めていたら、あっという間に温泉街のつきあたりまで来ていた。そこから先は、散策路があって、まずは「白銀の滝」を目指すことにした。

水流が打ち付ける大きな音が近づき、やがて白銀の滝にたどり着いた。周囲で生い茂る木々や苔むす岩の緑の間を、白く激しい水流が二本の滝となって流れ落ちてくる。

滝壺の近くまで行ってみると、水面を打ち付ける落水の力強さは迫力満点。時折飛んでくる滝しぶきが気持ちよかったが、ムッシュが濡れてはいけないから、急いでバッグにしまう。

白銀の滝

だけど、ムッシュも名所を見たいよね。仕舞いがけにそう思い立って、ムッシュの顔だけは出して、見えるようにしてあげた。もう一つ、一緒に見たい場所があるからね。

そこからは少しだけ歩いたけど、道は舗装されていて、歩くのにはそれほど苦労しなかった。散策路の外には自然のままの風景が広がっていて、木立から野鳥のさえずり聞こえてくる。

少しだけ脚が疲れたかも、そう思う頃に見えてきたのが、次の目的地の「銀鉱洞」。かつては銀鉱山として栄えて、そこから温泉が湧き出たのが銀山温泉の由来というのは知っていたけど、ここではその名残を味わうことができる。

銀鉱洞

木組みの階段でほの暗い入口からひんやりとした風が吹いていて、ちょっとした冒険心をくすぐる。

階段を降りていくと、冷たく少し湿った空気が少し汗ばんだ身体を一瞬で冷やしてしまう。滝しぶきで濡れないように、坑道で引っ掛けてしまわないようにと思って、ムッシュの身体をしまったけど、これはムッシュをバッグに避難させて正解だったかも。きっと凍えちゃうよ。

銀鉱洞という名前にふさわしく、中は思った以上に開けた空間で、まさに洞窟のようになっていた。ここは人間が掘り進めた場所と思うと、かつては本当にたくさんの銀が採れた場所だったことが分かる。

だけど、夏とはいえ、半袖では少し肌寒かったかもしれない。少し身体が冷えてしまったので、今回のところは早めに退散することにした。


銀山温泉付近のグルメスポット

銀鉱洞で冷えた身体も、散策道を戻っていくにつれて、少しずつ暖かくなってきた。ここで、少し休憩。実は今回は目的地があるので、温泉街へとまっすぐ戻ってきた。

店の前には赤いポストが置かれていて、木の看板がぶら下がっている。景色に溶け込んでいながらも、少しモダンな雰囲気を感じさせるカフェ。それが「酒茶房 クリエ」だ。

実はさっき街並みを眺めているときに見つけて、絶対行こうと思っていた。

店内に入ってみると、やっぱり良い。木目のアンティークが温かみを感じさせながら、ほどよいスタイリッシュさが、窓際に広がる温泉街の風景に絶妙にマッチしている。

メニューはスコーンやチーズケーキ、さらにはアイスまですべて店内で手作り。ローストした豆の香ばしさに誘われて、今回はプリンとブレンドコーヒーを頼んだ。

 

これ。

 

まさしくこれ。そんなプリンが出てきました!

いわゆる“固めプリン”で、しっかりとした食感。プリン自体は程よく甘くて、カラメルソースのほろ苦さと相まって、コーヒーにとても合う。一つひとつが丁寧で、やさしさが溢れる味わいに、ほっとしている自分がいた。

カフェを出て、温泉街の通りを歩く。少し人が増えてにぎわいつつある街並みは、また少し表情を変えた気がした。

 


銀山温泉付近のおすすめの宿3選

「大正ロマン」と呼ばれ、日本と西洋が融合した文化の花開いた大正時代。そんな時代にタイムスリップしたかのようなノスタルジーを感じさせる銀山温泉一帯。

大正末期から昭和初期にかけて、銀山温泉の中心を流れる銀山川の両岸に沿って多く旅館が建てられました。当時の建物は長い年月を経た現在でも使われ続け、時代の面影を残す情緒ある景観には、自然と目が奪われてしまいます。

観光名所の「白銀の滝」にもほど近く、昔のままの外観を保ちながら銀山温泉の中心に位置しており、天然温泉100%の半露天風呂を有する旅館をご紹介します。

 

[銀山温泉 旅館 永澤平八]


宿のコンセプトは「のんびり、ゆったり寛ぐ宿」。大正14年に建築された木造3階立ての旅館では、木の温もりを随所に感じられる空間となっています。川側の部屋からは銀山温泉の街並みが眼前に広がり、山側の部屋からは新緑・紅葉・初雪といった四季を感じられます。お料理は、尾花沢牛のステーキといった地元の四季折々の食材を使用しています。

住所:山形県尾花沢市銀山新畑445

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[味とまごころの宿 昭和館]

純和風の落ち着いた雰囲気をまとう建物の6階には、大きな樽の露天風呂「天空展望風呂」があり、そこからは四季折々の自然や趣のある温泉街を見下ろすことができます。自慢の逸品は、上質な脂を身にまとった山形県産和牛のローストビーフ、郷土料理の牛肉とサトイモの醤油味の芋の子汁などがあります。

住所:山形県尾花沢市大字銀山新畑420

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[能登屋旅館]


白と黒の貫禄のある存在感と大正期ロマンの懐かしさが融合した風情ある旅館。展望露天風呂からは「白銀の滝」を臨むことができ、開業時当より元湯として利用されている「洞窟風呂」も魅力の一つ。尾沢牛や鴨といった地元産の料理が迎えてくれます。旅館の正面右手に見える鏝絵(こてえ)は旅館のシンボルで、昭和7年に制作。銀山開拓の祖である「木戸佐左ェ門」の名が刻まれています。

住所:山形県尾花沢市大字銀山新畑446

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【山形県 銀山温泉周辺地図】

 

 


【酒茶房 クリエ】

入口近くにあるレトロな赤いポストが目印。

店主こだわりの手作りメニューが堪能できます。
手淹れのコーヒーだけでなく、甘いものはプリンだけでなく、スコーン、チーズケーキなどが人気。
夏の暑い時期にはアイスコーヒーやクリームソーダが、冬には焼きココアがよく注文されます。

木のぬくもりを感じる落ち着く空間で、2階の窓からは大正ロマンの世界が広がる銀山温泉一帯を眺めることができます。

定休日:月曜・火曜(不定休有)
営業時間:10時~18時(ラストオーダー17:30)
住所:山形県尾花沢市銀山新畑410
電話番号:0237-28-2038(※隣のお土産店 江戸屋と共有)
アクセス:銀山温泉バス停から徒歩約5分
Instagram:https://www.instagram.com/ginzan_/

作画:さけハラス キャラクター情報を見る▷
著:(株)ピーアールハウス

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・ムッシュ・コイケヤ:@MonsieurKoikeya
・さけハラス先生:@hunwaritoast
・明美さけ子:@akemi_sakeko

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