パナソニック乾電池のキャラクター「エボルタNEOくん」に学ぶ。アルカリ乾電池の性能とブランドへの愛が長く続くように
パナソニックは、1931年に乾電池の自社生産を開始しました。2008年にはアルカリ乾電池「エボルタ」を発売。2017年には、さらに長もちで安心・安全な「エボルタNEO」が発売され、同商品の魅力を世に伝えるべく誕生したのが小型実証ロボット「エボルタNEOくん」です。
今回は、乾電池の長もち性能を実証するエボルタチャレンジやSNS展開などについて、パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 コミュニケーション部より、メディア戦略課 石井由美さん、クリエイティブ課 谷口泰星さんに伺いました。(以下、それぞれ石井さん、谷口さん)
<目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
・エボルタNEOくんの誕生背景
・エボルタチャレンジで活躍する兄弟キャラクター
・「エボルタNEOチャレンジ2021」Twitterを活用した新たな挑戦
・SNS発信:防災商品紹介へ変化
・Panasonicのイメージを背負う存在
・「防災・子供向け・長もち」を主軸に発信
・【友達の輪バトン】次はセガ(SEGA)ソニック
エボルタNEOくんの誕生背景
エボルタNEOくんは、先代のアルカリ乾電池「EVOLTA」の長もち性能を実証するためのロボット・エボルタくんの弟です。兄から役割と名前を引き継ぎ、世界の様々な舞台で乾電池の長もち実証チャレンジに挑戦しています。
由来の詳細はこちら▶
「エボルタNEOくん」は兄の「エボルタくん」と同様、ロボットクリエーター・高橋智隆氏によって生み出されました。「エボルタNEOくん」の誕生の背景を知るために、まずは、兄である「エボルタくん」について触れていきます。
《エボルタくんの誕生秘話》
エボルタくんの誕生はどのような経緯があったのでしょうか? 石井さんは次のように振り返ります。
「2007年に世界一長もちの乾電池が当社から発売されることが決定し、どのように長もちを表現し、プロモーションをかけるかが課題でした。昔からテレビCMで乾電池がいかに長もちするかを伝えるのが通例だったため、宣伝部門は実証の役割を果たせる存在が必要だと考えていました。
一方で、営業部門は店頭での販促効果を狙い、アイキャッチになるようなキャラクターが必要だと声があがっていました。当初は別々で話を進行する予定でしたが、動くキャラクターを作り出すことができる高橋さんの存在を知り、彼に依頼することで両部門の課題を解決できるのではないかと結論に至りました。こうした背景があり『エボルタくん』が誕生しました」
頭の独特の角のような部分が特徴で、ロボットでありながら親しみを感じやすい丸みのあるフォルムが、キャラクターとしての可愛らしさにつながっています。さらに、アルカリ乾電池を搭載し動くことで長もち実証もできる。両部門の求める要素を一つのキャラクターに落とし込むことに見事、成功しました。
エボルタチャレンジで活躍する兄弟キャラクター
エボルタくんを採用し、商品の性能をいかに伝えるか?
「エボルタくん」は、グランドキャニオンを舞台にしたエボルタチャレンジで、テレビCMに初めて登場。かなりのインパクトを視聴者に与えることに成功しました。
「第一回目のグランドキャニオンの登頂は本当に成功するか分からず、文字通り“チャレンジ”でした」
当時をこう振り返るのは谷口さん。エボルタチャレンジは、回数を重ねるごとに、「エボルタくん」だけでなく、制作スタッフチーム、ひいてはパナソニックというブランドにとっても“チャレンジ”になっていきました。予定調和になるような挑戦ではなく、本当に達成できるのか分からないギリギリの数値を設定し、「エボルタくん」に想いを託してチャレンジを実施していました。
《エボルタNEOくんの誕生 兄から受け継いだ想い》
こうした想いのバトンを受け継いだのが、乾電池エボルタNEOと弟の「エボルタNEOくん」です。
2017年、「エボルタNEOくん」にとっての第一回目のエボルタチャレンジ。長もち性能がアップしたことを象徴するために、グランドキャニオンの530mの2倍に相当する、フィヨルドの断崖絶壁の壁1,000mの登頂に挑戦し、見事達成しました。
その後は、遠泳、トライアスロンなどに果敢に挑戦。2021年は、世界最長1,111mの登頂に「エボルタNEOくん」がチャレンジ。チャレンジ企画初のオンライン参加型とし、Twitterで応募した応援メッセージをロープに合成表示してメッセージを繋ぎ、見事1,115.8mを登り切りました。
商品のアイキャッチと実証の役割を持つ「エボルタNEOくん」は、動作の細部にまでこだわりました。石井さんは次のように続けます。
「見た目だけでなく、『エボルタNEOくん』が愛される理由が人間味です。ロボットの機械的な動作ではなく、頭がカクンと前後に揺れる動作は、まるで人間が頑張って登っている姿を彷彿とさせます。そうした動作を再現することで、見ている人に応援したくなるような人間味を与えているんです」
《エボルタチャレンジ:無駄な失敗は一つもない》
エボルタチャレンジは、度重なる失敗との隣り合わせで、必ずしも全てが成功しているわけではありません。実は、先ほどのフィヨルドへの挑戦も最終的には成功しましたが、一回目はまさかのゴール直前で停止してしまいました。
「失敗もエボルタチャレンジの一つだと考えています。“成功”という文字に固執するあまり、達成がたやすいような目標を設定して成功したとしても、それは必ずしも“正しいチャレンジの姿”とは言えないでしょう。だから、チャレンジの結果はいつも成功と失敗が紙一重です。失敗を恐れては、本当の成功にたどり着けません。なので、失敗が無駄なものとは一切考えていません」(谷口さん)
乾電池「エボルタNEO」は、「世界一長もちする単3形アルカリ乾電池」としてギネス世界記録™を保持しています。エボルタチャレンジでのギネス世界記録™への果敢な挑戦は、乾電池「エボルタNEO」の性能を多くの方々に認知していただくことともシンクロしており、「エボルタNEO」の進化に通じています。
エボルタチャレンジの予告では、毎回たくさんの応援メッセージが届き、たくさんの方に見守られるようになりました。エボルタチャレンジは実証するためのチャレンジというだけでなく、応援してもらったり、参加してもらったりユーザーとのつながりと自分事化という側面も持つイベントになったのです。
「エボルタNEOチャレンジ2021」Twitterを活用した新たな挑戦
2021年11月7日、エボルタNEOくんは「エボルタNEOチャレンジ2021」にて1,111mのクライミングチャレンジを行い、1,115.8mの登頂を見事達成しました。コロナ禍を受け、リモートワークなどデジタルで人と繋がることがより身近になった世相を反映させ、また、人が集まって密にならないように屋内のスタジオから生中継という形式が採用されました。
さらに、例年と異なり、Twitterで募集した皆さんからの応援メッセージをロープに反映させ、それが登り切る前に途絶えてしまっても失敗になるという条件を加えました。
応援コメントの募集するために「エボルタNEOチャレンジ2021 応援ツイートキャンペーン」を行ったところ「小さい体で頑張っているのを応援しているよ」「子どもと一緒に楽しみにしている」「頑張っている姿に胸が熱くなる」など、老若男女問わず多くのメッセージが届きました。応援コメントが途切れたら失敗というエンタメ性を加えたことで、自宅や家族で一緒に楽しんでもらいたいという想いが込められています。
イベントを楽しんでもらうためだけでなく、本来の目的である「パナソニック商品の性能をお客様に伝える」という強い使命感を関係者全員が背負っています。中でも、「エボルタNEOくん」が背負うテーマは、「エボルタNEO」のイメージに大きな影響を与えています。
「エボルタNEOくんは『電池の長もち』という一貫したテーマを発信し続けています。毎回のチャレンジ自体の見え方は変わるかもしれませんが、基本姿勢は貫徹しています。
だからこそ、お客様に深くささり、理解してもらっていると考えています。どのタイミングで知ってもらっても、『電池の長もち』という同じテーマが伝わり、それが『エボルタNEO』というブランドが長く愛される、一つの重要な要素になっていると考えています」(谷口さん)
SNS発信:防災商品紹介への変化
エボルタについての情報発信は、2009年まではブログが中心でしたが、2010年以降はTwitterがメインに。Twitterが日本で普及し始めて間もない頃からエボルタくんのアカウント ( @EVOLTA_ROBOT ) を開設し、現在に至るまで運用しています(※1)。
当初の目的はエボルタチャレンジの告知や中継の発信、チャレンジの応援メッセージを受け取ることでした。日常生活に関する情報も投稿していましたが、徐々にフォロワーとのコミュニケーションを大切にした情報発信にシフトするようになりました。
さらに、投稿内容が変化したのは2019年。防災商品・エボルタNEOくん。これら2つは別々のカテゴリーとして捉えていましたが、2019年以降エボルタNEOくんのTwitterアカウントで一緒に紹介されるようになりました。
「防災は最近のトレンドで、皆さんのお役立ち情報として発信していました。そこで、『エボルタNEOくん』を防災キャラクターとして活用できないかと考え、ヘルメットを被ってもらって、防災商品との関連性を強めるデザインに変更しました」(谷口さん)
現在は #もしもの備え というタグを通して展開しています。例えば「備えに必要な電池の本数は?」など家電商品に関する情報のみでなく、暮らしに役に立つ知識を提供します。
2021年の防災の日(9月1日)には、カルビーなど7社でコラボした防災グッズを抽選でプレゼント。企業間とのコラボ協力が成立し、多くのユーザーとつながることができたのも、「エボルタNEOくん」の親しみやすさのおかげといえるでしょう。
「パナソニックでは、多くのTwitterアカウントを所有しています。その中でも、『エボルタNEOくん』は唯一の公式アカウントを持つキャラクターです。その強みを今後も活かしたいと考えており、タイムリーな投稿をしたり、リプライをしたり、『エボルタNEOくん』に関するツイートに反応したりして積極的にユーザーと交流しています。キャラクターだからこそできるユーザーとの深い繋がりを意識していきたいです」(石井さん)
(※1)Twitterは、2008年4月に日本語版が利用可能になりました
Panasonicのイメージを背負う存在
乾電池は他の家電製品やおもちゃなどと同時購入される、いわゆる「ついで買い」の傾向が強い商品です。そのため、店頭にアルカリ乾電池が陳列された際に、「エボルタNEOくん」がアイキャッチになり、乾電池という商品を想起させ買い忘れ防止につながります。
さらに、「おもちゃの乾電池の交換」は多くの人が幼少期に体験する出来事です。こうした人生初のPanasonicとの接点になりうるシーンでも「エボルタNEOくん」が認知拡大の一翼を担います。石井さんは期待を込めて次のように考えています。
「アルカリ乾電池に記載されている『Panasonic』というロゴ自体はとても小さいですが、商品の大きさに対しての比率だと全商品の中で最大です。
アルカリ乾電池で動くおもちゃで電池を交換する際に、お子様に自然と『Panasonic』の文字を覚えてもらい、最初に使った乾電池がパナソニックの『エボルタNEO』であってほしいという気持ちがあります。
子どもへのパナソニックブランドへの認知もさることながら、『エボルタNEO』というアルカリ乾電池だけでなく、会社全体のイメージもエボルタNEOくんは背負っていると感じています」
「長もち・防災・子ども」を主軸に発信
今後、エボルタNEOくんが伝えていきたいキーワードは3つ。
「長もち・防災・子ども」
「エボルタNEO」というアルカリ乾電池の長持ちという商品性能、防災関連知識や関連商品の投稿、子ども向けのコンテンツとのコラボの発信。この3つを軸として発信していきます。
エボルタチャレンジを通じた「長もち」という商品イメージの発信を基本としつつ、防災の関連商品やお役立ち情報の発信と、子どもへのアプローチを積極的に展開する予定です。キャラクターの認知度アップにも注力していきます。谷口さんによると、アルカリ乾電池とセットで、「キャラクターの認知率は現在40%ほどなので、50%ぐらいは目指したい」とのこと。
「エボルタNEOくん」は、兄の「エボルタくん」が企画された段階では全く予想できなかったプロモーション動画制作やおもちゃの発売に至るぐらいに、“一つのキャラクターとして確立、認知”されるようになりました。
今後もキャラクターとしての存在感を強めることで、「エボルタNEO」というアルカリ乾電池の「長もち」性能の発信だけでなく、お客様からのパナソニックブランドへの愛が長く続くことに貢献していくことでしょう。
【友達の輪バトン】次はセガ(SEGA)ソニック
次回は、セガグループの看板キャラクター「ソニック(本名:ソニック・ザ・ヘッジホッグ)」にバトンをつなぎます。
誰もが知る大人気アクションゲームですね。どうぞ、お楽しみに!
キャラクター事業部:野村隆仁