【小学生向け】今年の自由研究はPBLを取り入れ、創造性と探究心を身につけよう
自由研究に取り組む季節がやってきました!
今年は新しい学習方法「PBL」(プロジェクトベースドラーニング)を取り入れて、より意欲的な学びと成長を促すことを目指しませんか?
PBLは、子供たちが自分の興味や関心に基づいて自主的にテーマを選び、自らの手で研究・プロジェクトを進めていく学習方法で、日本では、問題解決型学習と言われ、小学校、中学校、高校と幅広く取り入れられています。
簡単にいうと「子供たちががテーマを見つけて、自分で段取り考えて進める」ということですが、PBLが注目されていのは、学生の関与度や自律性を高めるだけでなく、現実世界の問題解決に必要なスキルを養うことができる点です。世界でも最先端のカリキュラムの一つとして注目されています。
子供たちは自身の学習目標を設定し、必要な知識やスキルを獲得しながらプロジェクトを進めます。自分で調査や実験を行い、問題解決に取り組むなど、自主的な学習活動が重視されます。
この記事では、自由研究に困っているお父さんお母さん向けに、子供たちが自主的な学びや問題解決能力などを身につけるPBLを自由研究に取り入れるヒントをご紹介します。せっかく取り組む自由研究ならば、より成長が期待できる取り組みをしたいですよね。
<目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
・PBL(Project-Based Learning)って何?
・PBLの特徴と注目されるその効果
・自由研究にPBLを取り入れるヒント
・PBLを取り入れた自由研究の進め方
1. PBL(Project-Based Learning)って何?
PBL(Project-Based Learning)は、アメリカで教育者に注目されている最先端のカリキュラムの一つです。PBLは、学習者が実世界の問題やプロジェクトに取り組みながら、自主的に学びを進める方法です。
学生たちは具体的なプロジェクトに取り組みながら、主題に関連する知識やスキルを習得します。彼らは問題の解決策を見つけるために調査や分析を行い、実際に手を動かしながら創造的な解決策を見つけ出します。このプロセスによって、学生は協力、コミュニケーション、批判的思考、問題解決能力などの重要なスキルを発展させることができます。
PBLは、学生の関与度や自律性を高めるだけでなく、現実世界の問題解決に必要なスキルを養うことができる点で注目されおり、チームワークやコラボレーションの重要性を強調し、学生が相互に学び合いながら成長する環境を作り出します。
アメリカでの事例
アメリカのいくつかの学校や教育機関では、PBLを取り入れた教育プログラムやカリキュラムを開発しています。
例えばHTH(ハイテックハイ)はPBLを行う特別認可学校で、幼稚園から高校まで13校と教育大学院があります。
『テストに強いだけの人材を育てるのではなく、実社会で本当に活躍できる人材を育成している学校』として注目されています。
映画 ”Most Likely to Succeed” という映画の舞台にもなっています。この映画は、「人工知能 (AI) やロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものか?」というテーマで2年間の学校取材を積み重ね制作されたドキュメンタリー作品です。
これらの学校では、伝統的な授業形式に比べてより実践的で現実的な学習体験を提供し、学生たちがより深い理解と応用力を身につけることが期待されています。
日本での普及状況
日本では、「問題解決型学習」などと称され、小学校、中学校、高校と幅広く取り入れられています。
《PBLに取り組む学校の事例》
●立命館小学校(京都)
プログラミング教材としても人気の「マインクラフト」( ゲーム内の世界で好きなように建物をつくって遊ぶゲーム)を活用したPBLを実施。
●笹塚小学校(東京)
プログラミング教材としても人気の「マインクラフト」( ゲーム内の世界で好きなように建物をつくって遊ぶゲーム)を活用したPBLを実施。
東急株式会社、株式会社サイバーエージェント、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社MIXIの5社と渋谷区教育委員会が連携したプロジェクトの支援を受けている。
●和洋九段女子中学校(東京)
議論を中心としたPBLを積極的に取り入れ。PBL型の入試も導入。
●ふたば未来学園高校(福島)
定食屋で有名な大戸屋とコラボレーションしてメニュー開発のPBLを実施。
2. PBLの特徴と注目されるその効果
特徴
1.単なる知識の受け渡しではなく、学生たちが自ら問題を解決するプロセスを通じて深い学びを得ることができます。
PBLの導入により、学生たちは自ら考え、主体的に学ぶ姿勢を養うことができます。
2.現実の社会や職業に即した課題に取り組むことで、将来の社会で必要なスキルや能力を身につけることが期待されています。
3.協働学習やコミュニケーション能力の向上、創造性の発揮などにも効果があるとされています。
これらの要素は、日本の教育改革の中でも重要視されており、PBLがその実現に寄与できると期待されています。そういった点から、日本の教育者や教育研究者の間で注目を集めています。
PBLの導入で期待される8つの効果
- 主体的な学びを促進する
- 現実的な問題解決能力の育成
- 協働学習とコミュニケーション能力の向上
- 創造性とイノベーションの促進
- 深い理解と応用力の獲得
- リーダーシップとチームワークの発揮
- 自己評価と反省の機会の提供
- 長期的な学習成果の持続性
PBLは単なる知識の習得だけでなく、学生たちが自己の学びを主体的に進めることや、実際の問題解決に取り組むことを通じて、より深い学びやスキルの獲得が期待できるとされています。
3. 自由研究にPBLを取り入れるヒント
1.子供たちの学習目標の設定
PBLにおいて、子供たちが主体的に学び成長するためには、学習目標の設定が重要です。まずは子供たちと話し合い、自由研究のテーマを決定しましょう。子供たちが興味を持っている分野や、解決したい問題、探求したい課題を見つけることが大切です。その後、具体的な学習目標を立てる際には、以下のポイントを考慮しましょう。
・目標は適切で実現可能なものであること
・子供たち自身が達成したいと思える意義のある目標であること
・目標達成のために必要な手順やステップを共に考えること
2.必要な知識やスキルの獲得
PBLでは、子供たちが自らテーマを探求し、プロジェクトを進めるために必要な知識やスキルを自ら獲得します。親御さんは、子供たちが学ぶための資料や情報源を提供し、インターネットや図書館などを活用する方法を伝えると良いでしょう。また、専門家へのインタビューやフィールドワークなどを通じて、実践的な学びを促進することも有益です。子供たちが主体的に知識を吸収し、自らのプロジェクトに活かすことが大切です。
3.自主的な学習活動の重視
PBLでは、子供たちが自ら考え、自ら行動することが重要です。親御さんはサポート役として子供たちを支えつつ、できる限り自主的な学習活動を尊重しましょう。自由な発想や創造力を促進するために、制約を少なくし、子供たちのアイデアや意見を尊重する姿勢が必要です。また、進捗状況を定期的に確認し、必要なサポートを提供することで、子供たちが学習の過程で自信を持ち、成長できる環境を整えましょう。
テーマ決めのヒント
ここまで、PBLについて色々とご紹介してきましたが、実際に自由研究のテーマを決めるとなると難しいですよね。そこでPBLと相性の良い2つのテーマをご紹介します。
プログラミング
立命館小学校や、笹塚小学校のカリキュラムにも導入されている通り、プログラミングでゲームを作ることはPBLに非常に適しています。
PBLは実世界の問題やプロジェクトに取り組む学習方法であり、学生が自主的に学びながら解決策を見つけるプロセスを重視しています。この観点から、プログラミングでゲームを作る自由研究はPBLに適した活動と言えます。
プログラミングを通じてゲームを作る場合、子供たちは実践的なスキルと知識を身につけながら、ゲーム開発のプロジェクトに取り組むことになります。彼らはゲームのコンセプトやデザインを考え、プログラミング言語やツールを使ってゲームの機能やルールを実装します。
さらに、ゲーム制作は子供たちに創造性や問題解決能力を発揮する機会を創出します。彼らはゲームのプログラミング課題に直面し、自ら考えながら解決策を見つけ出す必要があります。また、ゲームのテストや改善などの反省と改善のサイクルを通じて、子供たちは自己評価や反省の機会を得ることもできます。
「えいにゃんと一緒にプログラミング」は、無料で使えるスクラッチを使った「ゲーム、アニメーション、計算問題が作れる」プログラミングの教材です。
きのこの育成・観察
キノコの育成や観察は多くの子供たちに興味を引くテーマです。自然に触れることや生物の成長を観察することは、子供たちの好奇心を刺激します。
キノコの育成や観察には様々な要素が含まれるので、子供たちはキノコの生育に必要な条件や環境、影響を受ける要因などについて探求し、問題解決を試みることができます。
キノコの育成・観察では、実際に成長過程や結果を目にすることができます。子供たちは自分たちの取り組みの成果を直接確認し、学びの意義を理解することができます。
PBLでは学習を実践的に行います。実際に行動を起こし手を動かして学ぶ、キノコの育成や観察は、PBLに適していると言えるでしょう。
「キノコの不思議な世界」は、環境への負荷を最小限に抑えながら持続可能な農業システムを実践する、循環型農業を行っていまる浜田農園の商品です。
4. PBLを取り入れた自由研究の進め方
1.自由研究の設計と目標の設定
決めた自由研究に具体的なテーマや目標を設定します。例えば、「プログラミングで脱出ゲームを作る」「自宅できのこの栽培を行い、生育の過程を観察する」といった目標を設定します。
2.子供たちの関与と責任の促進
自ら選んだテーマを「自主的に計画を立て、実践に取り組むこと」を重視しサポートしましょう。
3.調査と学習の実施
子供たちは、自ら選んだテーマの基礎知識を調査し、必要な知識や手法について学びます。例えば「ゲームを作る場合のプログラミングの仕方」「きのこの生育であれば種類や栽培環境、水やりや温度管理、栄養要素など」について学習します。進捗状況を定期的に確認し、調査方法など必要なサポートをしましょう。
4.実践と観察の実施
子供たちは自分自身で実践や観察を進めていきます。例えばプログラミングでのゲームに改良を実践してみたり、きのこの生育に影響を与える要因を実際に試してみて、成長過程や環境変化を観察・記録します。
5.データ収集と分析
・プログラミングであれば、プログラムのデバッグや改善点の見つけ、それを分析し改善していきます。
・きのこの育成であれば観察の過程でデータを収集し、成長のパターンや変化を分析します。データのグラフ化や比較、仮説の検証など、科学的なアプローチを用いてデータを解釈します。
6.成果の共有とプレゼンテーション
子供たちは自由研究の成果をクラスで発表することでしょう。プレゼンテーションやポスターセッションなどの形式で成果を発表するので、お家で予行練習をしても良いかもしれません。振り返りの時間も設けて、自由研究の過程で得た経験や学びを振り返り、改善点や次に取り組みたいことを話し合てみることもお勧めします。
PBLを取り入れた自由研究は、子供たちの創造性と探究心が育まれ、自主的な学びを楽しむ素晴らしい体験になります。お家でも是非、取り入れてみてください。PBLと相性の良いテーマは、下記ボタンからチェックいただけます。