【初取材】ウエルシアグループ公式SNSキャラクター「うえたん」に学ぶ

サクセスに学ぶ

2022年度にドラッグストア業界で初めて年間売上高1兆円を達成したウエルシアグループ(以下、ウエルシア)。TCF Webzineはメディアとして初めて、ウエルシアのSNS公式キャラクター「うえたん」の取材を実施しました!

今回お話を伺ったのは、ウエルシア薬局株式会社 商品本部 販促企画部 横江さん。

うえたんのTwitterフォロワー数は、運用からわずか3年で30万人という大台を突破。担当者も「ここまで人気が出るとは…」と驚くほどの急成長ぶりを見せています。

期待を大きく上回り活躍するうえたんの誕生秘話やこれまでの活動、SNS運用、今後の展望についてお送りします。

 

■うえたんの誕生秘話

ウエルシアはお客様とのコミュニケーションツールとしてSNS運用を開始。2018年7月にTwitter、11月にはLINEに公式アカウントを開設しました。

©ウエルシア LINEスタンプ

その後、TwitterなどのSNSではナビゲーターとしての役割を担うキャラクターが必要と考え、2019年1月22日に公式SNSキャラクターとして「癒しの看板くま」のうえたんが初登場(誕生)しました 。

 

〇キャラクター開発の経緯

ウエルシアのキャラクターはなぜ「癒しの看板くま」うえたんになったのでしょうか。

うえたんの開発コンセプトは、ウエルシアのロゴに含まれる青色と白色に想起されるイメージで、ドラッグストアに求められる「清潔感」と、幅広いお客様が「親近感を持てるような動物」であること。

「身近な店舗からお客様に幸せを届ける存在」になることを目指し、それに準じる存在を調査したところ、ヨーロッパでは、クマが「幸せをもたらす」ハッピーモチーフといわれていることが分かり、丸くてかわいいシロクマのキャラクターの制作が決定しました。

©ウエルシア

キャラクターの配色は、ウエルシアのロゴのカラーである青色と白色を基調にしました。

それを土台に、「ウエルシアグループのうえたん」という理想像に近づけるために、Web上と店頭での視認性を考慮しつつ、顔パーツ配置、輪郭線の太さ、頭身のバランスなど微細な調整をした50体以上のラフイメージを制作。

誰からも好まれる丸いフォルムと、シンプルなパーツを基本として検討を重ねた結果、今のデザインに辿り着きました。中でも、デザインの一番のチャームポイントは前髪。緊張すると前髪を触る癖があるんだとか。うえたんを特徴づける個性の一つです。

〇「うえたん」でお店の名前を覚えるきっかけに

キャラクター名決定までの経緯は、「ウエルシア薬局」を想起しやすく、覚えやすいものを十数点の候補から、社内投票で1位を獲得したのが「うえたん」でした。「ウエルシア」の「エ」が小文字に間違われることがあるため、「『うえたん』という名前を覚えてもらうことで、ウエルシアの『エ』は大文字と、認知してもらうきっかけになれば」(横江さん)という願いも込められています。

薬局という”一般的には堅めな”企業イメージではなく、気軽にコミュニケーションが取れ、消費者の生活に寄り添い“優しさや元気を届けたい”という想いの結晶が「うえたん」という名前に込められているのです。

■うえたんのSNS発信

〇積極的な企業間コラボ、月に8回のキャンペーンツイート!

ウエルシアでは、TwitterとInstagramを運用しています。

それぞれの運用目的は以下の通りに分類されています。

©ウエルシア TwitterとInstagram

両者に共通するのは、SNSアカウントを通じてうえたんとユーザーがコメントのやり取りなどを行い、店舗に親しみを感じてもらいたいという考えです。

SNSを活用して新商品の情報に敏感なSNS利用者層に向けたアプローチを展開。Twitterでは、フォロー&RTの「キャンペーンツイート」を月に8回程度、そして新商品が出た際に取引先の企業キャラクター同士のコラボツイートを積極的に行い、ウエルシアの認知向上を図っています。

コラボを本格的に実施し始めたのは、2019年のハロウィンの時期から。SNSで企業キャラクターが仮装で盛り上がるなか、うえたんも仮装を行うと、それを見たさまざまな年齢層のユーザーからのフォローが急増しました。イベントへの参加という間接的なコラボでしたが、大きなシナジーが発揮されたのです。

その後、企業間で初めて実施したコラボが、キリンビバレッジとの掛け合いからのプレゼントキャンペーンでした。どのような効果が生まれるかも未知数でしたが、そんな心配をよそに大きな反響を呼び、ウエルシアのフォロワーは大幅に増加。無事大成功を収めました。

 

 

コラボでの情報拡散に手応えを感じたウエルシアは、その後も積極的なコラボ企画を実施。うえたんが躍進する足掛かりとなりました。うえたんのシンプルなデザインが他の企業キャラクターと重複しなかったことが手伝いとなり、その後も企業間コラボの回数を順調に重ねていきます。

うえたんとのコラボには、幅広い業種のキャラクターが参加しています。例えば、ヤマト運輸とはイラストでコラボ。クロネコヤマトの配送トラックにうえたんが乗車して配送を行う可愛らしいイラストは、大きな反響を呼びました。このように商品が店頭に並ぶメーカーだけではなく、異業種とのコラボを実施することによって、うえたんはキャラクターとしての世界観をどんどん広げています。

最近では、売上高1兆円達成を機にサンリオのシナモロールとコラボ。日本を代表するキャラクターとの異例のコラボに、キャンペーンツイートは3万リツイートを超えました。さらにアカウントのフォロワーが約1万人も増加したといいます。

こうしたキャンペーン企画やコラボツイートといった施策を重ねていくことで、Twitterのフォロワーは運用開始からわずか3年で30万人を達成しました(2022年4月現在)。

 

〇キャンペーン告知とエンタメ系ツイートをバランスよく発信

こうしたキャンペーン告知やコラボツイートといった施策を重ねていくことで、Twitterのフォロワーは運用開始からわずか3年で30万人を達成しました。

単にフォロワーを増やすだけでなく、キャンペーンをきっかけにフォローしてくれた方との良質な関係構築を行うことにも注力。フォロワーとの交流が生まれるアンケートやクイズ、心理テストといった参加型ツイートも発信しています。

お買い得情報とエンタメ情報をバランスよく投稿した結果、フォロワー数はキャンペーンが終わってもあまり減ることなく、キャンペーンを繰り返すごとに徐々に伸びていきました。

多彩なキャンペーンでフォロワーの心をつかんで離さないうえたんのTwitter。しかし、運用開始当初は、試行錯誤の連続でした。

「当初はうえたんのことを知らない人がほとんどだったので、うえたんから積極的にコミュニケーションを取りに行きました。『ウエルシア』のハッシュタグ付きのツイートや『ウエルシア薬局に行った』というツイートにいいねをしたり、コメントを残したりしました。

現在でもうえたんへのメンションをしているツイートを、ピックアップしてコメントを返信しています。

こうした取り組みも、運用し始めたころはただ驚かれるだけでしたが、最近は徐々にうえたんを知った上での反応が多くなりました。「日々の積極的なアプローチが功を奏し、うえたんというキャラクターが皆様に少しずつ浸透していったと感じています」(横江さん)

また、ウエルシアでは多数のフォロワーを獲得した現在に至るまで、うえたんのアカウントでツイートする内容や目的については、一貫したポリシーがあるといいます。

「企業キャラクターの印象は企業イメージに直結するので、バズることだけを目的にしないように、おもしろ系やタイムリーなネタに便乗するツイートに偏らないように配慮していました。『ツイートでより多くのことを知ってもらうこと』と『キャラクターの世界観を壊さないこと』この2つのバランスを保ちながらテーマを選定し、ツイートするように心掛けています(横江さん)

■店舗でウエルシアとお客様をつなぐうえたん

SNSで抜群の知名度を獲得し、ウエルシアの親しみやすいイメージづくりに貢献しているうえたん。実際の店舗ではどのような活躍をしているのでしょうか。

うえたんはお店の手書きPOPといった店頭販促ツールにも登場します。店舗スタッフにとって、うえたんのシンプルなデザインはイラストで再現しやすいだけでなく、その可愛らしさが魅力的なので、多くのスタッフが自発的にうえたんのイラストを描いているといいます。

©ウエルシア

ウエルシア薬局の店頭には豊富な商品数が並びますが、各商品の膨大なバリエーションにより、お客様が選ぶのを迷ってしまうこともあります。うえたんがアイコンの”おすすめPOP”は、お客様の目に留まり、商品を手に取る新たな基準を与えてくれます。

店舗が新規出店する際、フォロワーの中には「新店オープンの看板を見た。うえたんが私の家の近くに来てくれてうれしい」というツイートが投稿されることもあり、うえたんは店舗とお客様の橋渡し役になるほどの認知度を獲得しました。

「当初は、ここまで人気が出るとは想定していなかったです。ある程度のフォロワー数の目標はありましたが、SNS公式キャラクターという名前の通り、あくまでもSNS上に限った活動を想定していたからです。

今ではリアルイベントなどでどのように活用しようか悩むぐらいに、うえたんは成長してくれました。これからもSNS上での発信に限らず、店舗との結びつきを強めていくことで、お子さんが喜ぶから『うえたんがいるウエルシア薬局に行こう』というきっかけになってくれると嬉しいです」(横江さん)

■ウエルシアを象徴するコミュニケーターへ

Twitterでの活躍にとどまることなく、店舗でも存在感を強めていったうえたん。今後はデジタルの枠を超えて、リアルのコミュニケーションの場をさらに創出していくことを目標にしています。

©ウエルシア

今後のうえたんの展開については「キャラクターとして世界観を保ちながら、もっと広い方面にアプローチし、お客様とのコミュニケーションを活性化していきたい」と期待に胸を膨らませています。

最後に、うえたんに今後どのような存在になってほしいかを伺いました。

「うえたんがウエルシアという企業イメージを象徴する存在になり、それを外部に発信するようになってくれたらと思っています。ネット社会で、ユーザーには溢れんばかりの情報が届きます。そうした状況下で、うえたんはキャラクターとしての人格を持ち、企業に代わって一つの媒体に縛られることなく、お客様とコミュニケーションを取れる存在です。

『ウエルシア』のコーポレートロゴだけでは伝えきれない企業の『親近感』というイメージを、うえたんと企業の印象が結びつくことで、たくさんのお客様に届けられたら嬉しいです」(横江さん)

2020年に全国約2000店舗を突破し、2021年9月に九州に初出店。さらに、今年2022年にはグループ年間売上高1兆円達成という大きな節目を迎えたウエルシアグループ。年間を通して関連キャンペーンを実施予定です。ウエルシアグループのさらなる発展と、お客様とのつながりを深めるため、うえたんのますますの活躍が期待されます。

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