遊園地よみうりランドマスコットキャラクター「グッド&ラッキー」に学ぶ。「#推しラン」などよみラン流のSNS発信術!

グッドとラッキーの仲良しポーズ
サクセスに学ぶ

遊園地、ゴルフ場、公営競技場、温浴施設など多岐にわたる事業を展開している株式会社よみうりランド(以下、よみうりランド)。

その中でも、遊園地よみうりランドのマスコットキャラクター「グッド&ラッキー」について、同社の企画担当宮澤佳子さん、グリーティング・グッズ担当宮田祐里さんにお話を伺いました。

「グッド&ラッキー」の誕生秘話や、若い社員の意見を柔軟に取り入れたSNSの活用事例をご紹介します。様々な試行錯誤を経ながら、「どうしたら多くの方に来園してもらえるのか」を追求し、若い社員の意見を柔軟に取り入れて発信しています。

「よみランアンバサダー」といった参加型企画や、ターゲットを「狭く・深く」絞った独創的な企画「#推しラン」などの貴重な裏話も満載です。

<目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
お客様をもてなす、よみうりランドの代表「グッド&ラッキー」
よみうりランドを象徴する、愛されキャラとして誕生
偶然会えたら“ラッキー”?
認知よりも「想起」。よみラン流SNS発信術
狭く・深く。ピンポイントを狙った「#推しラン」企画
人気グッズランキングトップ3
夢はグッド&ラッキーのアトラクション。広がる未来の可能性

 

お客様をもてなす、よみうりランドの代表「グッド&ラッキー」


よみうりランドのグッドとラッキー

https://www.yomiuriland.com/good_and_lucky/ ©よみうりランド

「グッド&ラッキー」は、よみうりランドの代表としてお客様をおもてなしするマスコットキャラクターです。

誕生のきっかけは、遊園地の大規模なリニューアル。ものづくりが体感できる日本最大のエリアとして「グッジョバ!!」が遊園地内に新規オープンしたタイミングで、新たにマスコットキャラクターを誕生させることになりました。

マスコットキャラクターを2人にした理由の一つは、来園した男の子と女の子の両方に親しんでもらえるようにするため。もう一つはステージイベントが開催される際に、見た目にもバランスが取れるだけでなく、演出の幅も広がると考えたためです。

また、グッド&ラッキーの特長の一つがイラストと衣装豊富。これまでHPやTwitterなどのSNSにグッド&ラッキーの四季折々のイラストが数多く投稿されており、そのイラストをベースに衣装が作られています。他の遊園地のマスコットキャラクターには見られないような、季節に合わせた衣装を身にまといお客様の前に登場するのも、お客様に季節を感じて、より楽しんでもらうための演出の一つです。

 

よみうりランドを象徴する、愛されキャラとして誕生


グッドとラッキーの合体プロフィール

https://www.yomiuriland.com/good_and_lucky/ ©よみうりランド

先代のマスコットキャラクター「ランドドッグ(『宇宙からきた宇宙犬』の設定)」も一定の人気はありましたが、明確なキャラクター設定があったわけではありませんでした。そのため、来園するお客様がランドドッグに抱くキャラクターのイメージも曖昧に。

よみうりランドのマスコットキャラクターをもっと来園者に覚えてもらえるように、公式マスコットキャラクターとして、新たに登場したのが「グッド&ラッキー」だったのです。また、     キャラクター設定を単に明確化しただけではありません。

「遊園地は非日常的な空間であり、楽しんでいただく場所という意義が大きいと考えました。そのため、グッド&ラッキーとの触れ合いやコミュニケーションを通して、来園されたお客様への感謝の気持ち表現する役割を担うようになりました」(宮澤さん)

このように、新マスコットキャラクターの登場を機に、「何を来園者に伝えるのか」というキャラクターの目的や役割が明確化されました。

グッド&ラッキーのキャラクターデザインはシップクリエイティブスタジオのイラストレーター・誉田哲朗(ホンダテツロウ)氏が担当。キャラクターデザインの原案は、社内各部署の担当が集まった専門チームが大まかな方向性を決定しました。

そこに、キャラクターのイベント担当者やフード・グッズ担当者などが、それぞれの視点でデザインを加えたものを最終的なデザイン案としてイラストレーターに提出。そのデザイン案を元に誉田氏がデザインを書き起こし完成に至りました。ちなみに、「グッド」に関しては、先代のランドドッグのデザインをよりシンプルにリメイクしました。

グッド&ラッキーのイラストは、よみうりランドの社外用のプレゼン資料にも登場しています。よみうりランドらしさを表現する象徴として、社員全員が大事に使っています。

また、よみうりランドの社員が持つ名刺にもグッド&ラッキーはあしらわれています。「グッド&ラッキーは来園者をおもてなしする」という枠を飛び越えて、社員の方にとってもいつも傍にいる、かけがえのない大切な存在になっています。

 

偶然会えたらラッキー?


グッドとラッキーのグリーティング

https://www.yomiuriland.com/event/good-lucky-greeting.html ©よみうりランド

グッド&ラッキーは、季節によって異なりますが土・日・祝日の13時頃に園内の「太陽の広場」に登場し、来園者をおもてなしします。人気者のグッド&ラッキーと一緒に写真を撮りたい来園者で長蛇の列ができることもしばしば。

平日もきまぐれで登場するなど、予告せず園内に現れることもあります。「いつ・どこで」出会えるかわからないドキドキが、巡り合えた時のさらなる喜びにつながります。ファンの中には、ゴンドラから地上にいるグッド&ラッキーを発見し、SNSに投稿してくれる人がいるほど愛されています。

「グリーティングを始めてから、ポスターやHPでそれを知った方が、グッド&ラッキーと一緒に写真を撮ることを目的に来園してくださったり、現れる時間に合わせて行動されたりする方がいると分かりました。『遊園地に来て、マスコットキャラクターと一緒に写真を撮ったりすることがお客様にとって大事なコンテンツだと実感しました」(宮田さん)

このようなグリーティング以外にも、グッド&ラッキーはなるべくたくさんのイベントに登場しています。例えば、コロナ禍以前は、毎月行われていた子どもたちが参加できるパレードに必ず登場していました。

10月下旬から始まる宝石色のイルミネーション「ジュエルミネーション」では、平日夜に一日一回ダンスショーを行っています。また、イベント以外でも、団体の来園者や、遠足で来てくれた子どもたちに挨拶に行くなどの細かな配慮も忘れません。

 

認知よりも「想起」。よみラン流SNS発信術


よみうりランドでは、TikTok、Twitter、Instagram、YouTubeなどのSNSを、直接来園者に情報発信できるツールとして活用しています。

TikTokの利用者は十代の若年層が多いため、まずは来園のきっかけになるような内容を意識しています。よみうりランドでのイベント情報や告知よりも、「よみうりランドがある」という認知・想起につながるように心掛けています。そのため、あえてくだけた印象の投稿や、動画で見た時に目に留まりやすいような投稿をしています。

Twitter ではTikTokと同様に想起の役割もありますが、イベント情報や新しい施設の告知など文字による情報の伝達をメインにしています。

よみうりランドのSNSの情報発信の取り組みで、ひときわ目を引くのが2020年2月に導入された「#よみランアンバサダー」です。HPから事前に登録すると、よみうりランドの魅力をSNSで発信する「PR大使」に誰でもなることができます。登録が完了すると、「#よみランアンバサダー」をつけてSNSに投稿するとポイントが付与され、ポイントに応じてアンバサダーランクが上がり、料金の割引やイベントの先行招待が受けられるようになります。

https://yomiuriland.com/sp/ambassador/index.html ©よみうりランド

企画したきっかけについて、宮澤さんは次のように語ります。

「来園者の方にアンケートをとったとき、来園したきっかけに“口コミ”という回答が多く見られました。『身近な人が来園したとき楽しかったということを聞いた』など、そういった口コミをSNSでも増やそうと考えました」

「#よみランアンバサダー」を開始した当初は、あまりつぶやいてくれないのではないか…と不安を感じていましたが、いざ始めてみるとよみうりランドのファンを中心とした約900人の登録がありました。さらに、SNSで「#よみランアンバサダー」をハッシュタグ検索するとたくさん出てくるようにもなりました。

このまま順調にいくかと思いきや、そこから登録者の数は一度頭打ちの状態になります。

「最初はまとまった登録があったのですが、しばらくして登録者数の増加が止まってしまいました。そこから登録者数を増やすために、アンバサダー限定のイベントやSNSでの投稿企画を打ち出すことでちょっとずつ増やしていきました」(宮澤さん)

また、「#よみランアンバサダー」はフォロワーとのコミュニケーションに変化をもたらすきっかけにもなりました。それまでは、公式アカウントからユーザーに「いいね」の反応を基本的にしない方針を取っていました。というのも、特定のユーザーだけに反応することで、他のユーザーに「自分には何の反応もしてくれなかった」といった不快な思いをさせたくないという思いがあったためです。

しかし「#よみランアンバサダー」の開始を契機に、公式アカウントからユーザーに対して、「いいね」の反応を積極的に行うようになりました。ユーザーも公式アカウントに見てもらっているという喜びにつながります。こうして「#よみランアンバサダー」は、新たなファンを増やすためのコミュニケーションツールへと変化しました。

 

狭く・深く。ピンポイントを狙った「#推しラン」企画


2021年9月から10月にかけて、よみうりランドでは、ターゲットを絞った独特の企画を走らせました。

それが「#推しラン」(推しと楽しめる遊園地)です。

推しランの切り抜き

https://www.yomiuriland.com/sp/oshilan/index.html ©よみうりランド

「推し」とは、「自分が推しており、他人に紹介したいぐらい好きなもの」。その対象は幅広く、アニメ、漫画、ゲームなどのキャラクター、アイドルなど多岐にわたります。また、「推し」は、ときにまるで友達や恋人のように、一緒に外出したり、デートにでかけたりするぐらいに持ち主に溺愛されています。よみうりランドの「#推しラン」では、主にぬいぐるみなどの「推し」と一緒に来園し、一緒に楽しんでいる様子を写真に撮り、SNSに投稿します。ピンポイントのターゲットに向けて集客とSNSでの広がりを図るというのが、この企画の目的です。

実は、この企画を担当したのは、入社3年目の若い男性社員です。企画でこだわったポイントは、「推し」を知っている人にだけターゲットを絞ったです。「推し」という言葉は、若年層を中心に徐々に浸透しつつありますが、まだ一般的には認知されていません。にもかかわらず、HPにある「推しラン」の特設ページに「推し」という言葉の説明は一切ありません。分かる人にだけ分かるような企画名にあえてすることで、狭く、深くターゲットに刺さるような一歩踏み込んだ戦略をとったのが特徴だといえます。

また、写真をSNSに投稿する際も、友達同士だと許可が必要ですが「推し」だと不要です。自分の「推し」を知ってほしいという気持ちも相まって、たくさんの人が「#推しラン」を投稿しています。

実際に、フォトスポットなどにはしばしば推しとともに撮影を楽しむお客様の姿が確認され、確かな反響を呼びました。

推しと楽しめるスポットの画像

※「推し」と楽しめるスポットが用意されました。©よみうりランド

 

人気グッズランキングトップ3


グッジョバ!!のオープンに合わせて登場したのが「Gjショップ」。グッド&ラッキーのグッズを販売する場所が初めて設置されました。

ここで、集計されたグッド&ラッキーの人気グッズトップ3をご紹介します!

グッドのカチューシャ

第3位 「グッドくん カチューシャ」(値段:1,100円(税込み))

中高生に人気で、グループでお揃いに着ける人が多いそうです。番組ロケで来園した芸能人が着けたこともあるそうです。

グッドとラッキーのフィンガーパペット

第2位 「フィンガーパペット」(値段:各660円(税込み))

キーホルダーのようにカバンなどに付けることができます。グッドの顔がかわいらしく、子どもたちにも人気があります。

第1位「クッキーカップ」 (値段:700円(税込み))

堂々の第1位に輝いたのが「クッキーカップ」です。中に入っているクッキーを食べ終えるとプラスティック製の容器は小物入れとしても利用できます。実は、カップの外側にはグッド&ラッキーのサインが入っていて、他では見られないレアな商品です。

 

夢はグッド&ラッキーのアトラクション。広がる未来の可能性


最後に、グッド&ラッキーの現在の目標や、将来の夢について聞いてみました。

「まずは、もっと多くの人に知ってもらいたいっていうことはずっと思っています。来園者の方にグッド&ラッキーの存在がだいぶ浸透し、なんとなく知ってくれている方が増えたと感じています。しかし、まだまだ認知度は低いかなと考えています。もっとみんなが知っているようなキャラクターにしていきたいというのが将来の夢ですね。
あとは、グッド&ラッキーに会うために来園するようなお客様をもっと増やしたいです。ゆくゆくはグッド&ラッキーをテーマにしたアトラクションができたら嬉しいです。例えば、グッドの家…、みたいな。お子さまが入って楽しめる家だと面白いですね(笑)」

多岐にわたる事業を展開するよみうりランド全体のブランドスローガンは「遊びを、まん中に。」

その中で、遊園地はよみうりランドのメイン事業であり、グッド&ラッキーはそのスローガンを表現するために、お客様に感謝を伝える代表として活躍の場を広げ、今後も飛躍し続けていくことでしょう。

皆さんが会いに行くときは、どんな衣装のグッド&ラッキーがおもてなしをしてくれるでしょうか? そこも一つの楽しみとして、よみうりランドに遊びにいきましょう!

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キャラクター事業部:野村隆仁

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