不二家の看板娘ペコちゃん。マスコットキャラクターとしての軌跡に学ぶ
1910年に創業された老舗菓子メーカー不二家の店頭人形として、1950年にデビューしたペコちゃん。
キャラクターとしての誕生背景やSNSを中心とした活動などについて、広報室の土橋美紀さん(以下、土橋さん)と、宣伝・販促担当の西尾美暢さん(以下、西尾さん)に伺いました。
将棋界とのつながりや積極的なCSR活動など、ペコちゃんの意外な一面をお届けします!
<目次>(※クリックするとその段落へ移動します)
・不二家の看板娘、ペコちゃん誕生!
・ペコちゃんはSNSでも大活躍♪
・棋士の戦いを陰で支える不二家のお菓子
・CSR活動イベントでも愛されるペコちゃん
・親から子どもへ、家族間で継承されるペコちゃん愛
・【友達の輪バトン】次は“お~いお茶くん”
不二家の看板娘、ペコちゃん誕生!
ペコちゃんは元気で明るい女の子。当時二代目社長だった藤井誠司氏が考案しました。
名前の由来は、“子牛”の愛称「べこ」。それを西洋風にアレンジしてペコちゃんになりました。もともと、ペコちゃんはミルキーの販売促進キャラクターとして社内であたためられていましたが、1950年に不二家の店頭人形としてデビューしました。
そして翌年の1951年、「ミルキーはママの味♪」のCMでお馴染みのミルキーの発売と同時に、ペコちゃんはパッケージに登場。
発売初期のパッケージは、現行のパッケージと顔の印象が異なり、目にインパクトがあります。
その後、時代に合わせて表情の変化を遂げ、自然でやさしい味わいを大切にしているミルキーを象徴するようなやさしく可愛らしい雰囲気を持つ現在のデザインになりました。
ペコちゃんはSNSでも大活躍♪
ペコちゃんは不二家公式のTwitter・LINE・Instagram・Facebookの4つのSNSにも登場します。それぞれのメディアの特徴に合わせて、新商品の紹介やキャンペーンのお知らせなど、フォロワーの楽しみになるような投稿をしています。
Twitterアカウントは主に「不二家【公式】」と「不二家洋菓子店【公式】」の2つがあります。
前者では不二家全体での取り組みや商品などについて、後者では店舗を利用するお客様に向けたセールスや商品情報を発信しています。
「フォロワーとのやり取りでは、『ペコちゃんが発信している』とちゃんと伝わるように、ちょっとした工夫を加えています。例えば、舌を出している絵文字やハートマークを使い、語尾は『〇〇だよ~』と可愛いらしい文章になるように気をつけています」(土橋さん)
#ミルキー発売70周年🍬
期間限定で復刻パッケージになったよ~😋
1959年頃~現在までの全5種類!
皆はどれが一番親しみあるかなぁ?個包装もリニューアルして、相性占い等の楽しい仕掛けがいっぱい🌟
もちろんペコはポコちゃんと相性バッチリだったよ💕▼詳しくはコチラhttps://t.co/AcDCJRmpsn pic.twitter.com/UQ0MVNMpPz
— 不二家【公式】 (@fujiya_jp) March 17, 2021
公式サイトでも、ペコちゃんにより親近感を持ってもらいながら、多くの方が何回も遊びにきて楽しんでもらえるように、毎月更新される壁紙・ぬり絵カレンダーなどの無料コンテンツも制作・配信しています。人気があるのは「ミルキー&ポップキャンディブランドサイト」や「ペコちゃんの森」の壁紙カレンダー。
両者ともに、お客様に日常生活の楽しさ、春夏秋冬の季節感を伝えるだけでなく、家族のコミュニケーションにつながるコンテンツになるように開発されています。
「こういったコンテンツをきっかけに、新商品情報やキャンペーン情報なども興味を持ってもらえたら嬉しい」と西尾さんは話します。
(※画像をクリックするとサイトへ移動します)
また、不二家公式LINEで実施したペコちゃんのGIFスタンププレゼントキャンペーンも好評でした。
2015年に不二家公式LINEアカウントがスタート。2021年3月に実施したGIFスタンププレゼントキャンペーンでは友達登録者数が約3万人増えるほどの反響がありました。
LINEでの情報発信は、タイムラインにてキャンペーン情報や洋菓子の新商品情報、毎月のミルキー&ポップキャンディーサイトのカレンダーの更新を中心に、キャンペーンに合わせてメッセージを配信しています。
Instagramは去年2020年1月にスタートしたばかりですが、フォロワーは既に5.5万人を超えています。こちらは、ペコちゃんからというよりは不二家社員からお客様に発信している形をとり、10~20代の若い世代を中心に、より親近感を感じてもらえるような投稿をしています。
Facebookはフォロワーの年齢層が高い人が多く、その数も3.9万人と他のSNSと比べたら少なめです。発信している内容は、グッズ・店舗・商品情報などTwitterでは載せきれない詳細な情報がメインです。
棋士の戦いを陰で支える不二家のお菓子
不二家は将棋界とも意外なつながりがあります。
プロ棋士は対局中座っているとはいえ、対戦で消耗する体力は相当激しいものになります。何十手も先の展開を読む必要があるため、脳が膨大なエネルギーを消費し、ときには体重が1~2kg減ることがあるほど。
対局中に必要なエネルギーを維持するために、お菓子などの糖分を補給する棋士が多くいたことから、将棋と不二家のコラボが実現しました。
2019年8月には、公益社団法人日本将棋連盟(東京)と「ペコちゃんはじめての将棋教室」を開催。それを契機に、2020年には第6期「叡王戦」の主催を務めるまでになりました。今後も、ペコちゃんが盤上の白熱した戦いを支える存在となっていくでしょう。
CSR活動イベントでも愛されるペコちゃん
ペコちゃんはCSR活動(※)に関するイベントにも積極的に参加しています。
まずは、「ペコちゃんが行く! 不二家キャラバン隊」。こちらはペコちゃんがキャラバンカー「ペコちゃん号」に乗って、全国の幼稚園や保育園の児童施設を訪問。クイズやペコちゃんダンスを通して園児と一緒に楽しめるプログラムです。2020年は1月と2月に3県10ヶ所の児童施設を訪問しました。
次に、「ペコちゃんキッズアカデミー」。こちらは自然と食の大切さを学び、家族の絆を深めることを目的にした親子招待イベントです。2019年には「東京港野鳥公園」で第9回目を開催し、11組の親子が参加。野鳥観察や野鳥クイズ、スズメのマグネット作りなどをペコちゃんと一緒に行いました。
イベントでのペコちゃんは、イベント開始時に挨拶をしたり、途中で参加者との記念写真を撮ったり、ダンスを踊ったり、最後には参加者のお見送りをするなど、参加者との交流を大切にしています。
ペコちゃんが登場すると、子どもからご年配の方まで年齢を問わず参加者の方から、「わー!ペコちゃんだー!」という喜びの反応があがります。
こうしたイベントでも、ペコちゃんはお客様とのコミュニケーション活動になくてはならない存在として活躍しています。
(※…企業の社会的責任。社会的責任とは、従業員や消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献までの幅広い内容に対して適切な意思決定を行う責任のこと)
(※両イベントとも2020年3月以降は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、活動を休止しています)
親から子どもへ、家族間で継承されるペコちゃん愛
不二家では「もっともっとファミリーの幸せに貢献していくためには何ができるだろう?」という想いから、2003年4月に不二家ファミリー研究所を設立しました。
不二家ファミリー研究所では、「ペコちゃんの森」をサイト運営。自然環境保護活動への取り組み、不二家キャラバン隊の告知や募集、スマイル川柳への投稿、壁紙カレンダーの提供など「家族の輪」を広げ、新たなコミュニケーションを生み出すようなコンテンツを発信しています。
(※画像をクリックするとサイトへ移動します)
実際のイベント参加者にはどのような方がいらっしゃるのか聞いてみました。
「ペコちゃんファンは特にお母さん世代が多いです。お客様にもよりますが、お母さんがペコちゃん好きで、お子さんも一緒にペコちゃんのファンになるという方も多いです。
結果的に、お母さんのペコちゃん好きがお子さんにも伝わって、自然と子どもたちも好きになっていくんだと思います。また、店頭にペコちゃんがいることで、よく見かけるキャラクターとして認知していただいています。お子さんも『ペコちゃん、ペコちゃん!』と喜んで参加してもらっています」(土橋さん)
お母さんから子どもへ、リレーのようにペコちゃん愛が継承されていきます。
また、ペコちゃんは他社との差別化や不二家の社内にとってどのような存在なのでしょうか?
「他のお菓子メーカーでキャラクターを持っている企業は多くないため、ペコちゃんの認知率の高さが、景品などのアイキャッチにもなり、他社との差別化もできていると思います。
また、『不二家=ペコちゃん』のイメージが強いため、親近感の向上も図ることができ、社内では、ペコちゃんというキャラクターがいることで従業員がより一層の愛社精神と誇りを持つことができると感じています」(西尾さん)
多くの方々に愛されてきた不二家の看板娘、ペコちゃん。世間からの認知度の高さも絶大といえるでしょう。
ペコちゃんは今後も、一番多くの支持を集めているお母さん世代だけでなく、全世代に愛されるキャラクターを目指します。
【友達の輪バトン】次は“お~いお茶くん”
次回は、伊藤園のキャラクター「お~いお茶くん」にバトンをつなぎます。どうぞお楽しみに!
記事:キャラクター事業部 野村隆仁